【9月5日 AFP】(一部更新、写真追加)マケドニア南西部のオフリド湖(Lake Ohrid)で5日、観光客を乗せた船「Iliden」号が沈没し、ブルガリア人15人が死亡した。

 警察関係者によると、Iliden号は、現地時間5日午前11時(日本時間同日午後6時)ごろ、岸から約200メートルのところで沈没した。マケドニアの内務相によると70人以上が乗船しており、15人が死亡、4人が重傷を負い病院に運ばれた。約50人の生存者は地元のホテルに入った。

 ブルガリア政府によると乗船者のうち55人がブルガリア人で、生存者38人が政府の航空機で帰国した。

 生存者の1人はブルガリア国営ラジオに「船は大きく傾いて転覆した。すぐに沈み始めて、だれもが逃げようとしたためにひどく混雑した。木の板や救命ブイにつかまっていたが、救命胴衣の数は十分ではなかった」と語った。この男性は妻とほかの3人の女性とともに木の板につかまっていたところ、駆けつけたボートに救助されたという。

 別の中年の女性はbTVテレビに「私の目の前でひきつけを起こして死んで行った人がいました。悪夢でした!」と話した。

 Illiden号は1924年にドイツで建造され、条件が良いときでも定員は53人だった。ブルガリア政府は定員を超えた乗りすぎが事故の原因だった可能性があるとして非難するとともに、7日を国民の服喪の日とすることを決めた。マケドニアのミレ・ヤナキエスキ(Mile Janakievski)運輸通信相は「倫理上の理由」で辞意を表明した。

 事故直後、現場近くのキャンプ場に来ていた大勢の人が小型ボートで救助に当たった。まもなく救助隊も到着した。マケドニアのゲオルギ・イワノフ(George Ivanov)大統領とニコラ・グルエフスキ(Nikola Gruevski)首相は内相、運輸通信相、国防相、保健相とともに現地入りした後、同日夕方、政府の緊急会議を開いた。

 現場付近は国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)の世界遺産に登録されており、オフリド湖には毎年数万人の観光客が訪れている。(c)AFP/Jasmina Mironski