【9月4日 AFP】5日に行われる2010年サッカーW杯南アフリカ大会(2010 World Cup)・南米予選第15節ではアルゼンチンとブラジルが対戦し、両ベンチには現役時代にW杯を制した監督が座り、ピッチには世界最高クラスの選手たちが登場するが、本大会出場という視点ではアルゼンチンにとって今回の対戦はより大きな意味を持つ。

 南米の大国同士の対戦は常に盛り上がりを見せるが、ホームのロサリオ(Rosario)にブラジルを迎えるアルゼンチンは、のどから手が出るほど勝ち点を必要としており、このことが今回の対戦にさらなるスパイスを加えている。

 同予選でブラジルは、チリ、パラグアイを抑えて首位に立っており、5日の結果次第では本大会出場が決まる可能性がある。その一方でアルゼンチンは、不振にあえいでいる。

 ディエゴ・マラドーナ(Diego Maradona)監督を招聘(しょうへい)したアルゼンチンは、低調に終わった予選前半戦を挽回するまでに至らず、本大会自動出場の最後のいすとなる4位でブラジル戦を迎える。

 一方、ブラジルが優勝した1994年のW杯米国大会で主将を務めたドゥンガ(Dunga)監督は、セレソン(Selecao、ブラジルの愛称)をよく訓練されたカウンター中心のチームに変ぼうさせている。

 ドゥンガ監督の下でブラジルは、決勝でアルゼンチンを3-0で下した2007年のコパ・アメリカ(Copa America 2007)と、6月に行なわれたコンフェデレーションズカップ2009(Confederations Cup 2009)で優勝している。しかし、ディフェンダー(DF)のジュアン(Juan)は、監督ではなく選手にスポットライトが当たるべきだと語っている。

 イタリア・セリエAのASローマ(AS Roma)に所属するジュアンは「マラドーナはとてつもない選手だった。彼はアルゼンチン代表チームと美しい歴史を共有している。同じことは勝者の歴史を手にしているドゥンガとブラジルにも言える。しかしながら、今回両者はピッチに立たないんだ。われわれは彼が世界の舞台で示したすべてのことでマラドーナを尊敬しているが、われわれにも偉大な監督がいるので、試合が始まってしまえば対等だ」と語っている。

 1978年と1986年にW杯を制しているアルゼンチンは、1970年以降では一度も本大会出場の切符を逃していない。しかし、ブラジルに敗れれば、およそ考えられないシナリオがまた一歩現実味を帯びることになる。

 9日にはアウェーでのパラグアイ戦を控えるアルゼンチンは、10月にはペルー、ウルグアイと対戦し南米予選を終える。

 2008年11月に指揮官に就任したマラドーナ監督は「勝つことだけを考えている。負けを容認することはない。われわれはブラジルより勝利に飢えている」と語っている。

 今回の対戦では、FCバルセロナ(FC Barcelona)に所属するリオネル・メッシ(Lionel Messi)と、レアル・マドリード(Real Madrid)に6500万ユーロ(当時約89億円)で移籍したカカ(Kaka)の対戦も見どころの一つになっているが、メッシと前線でコンビを組むカルロス・テベス(Carlos Tevez)は、W杯5度優勝のブラジルを前にしても容赦することはないと語っている。

 2009-10シーズンからマンチェスター・シティ(Manchester City)に在籍するテベスは「彼らは多少の恐怖心を抱いてやって来るだろうが、おれたちは丸のみするつもりだ。だが彼らには敬意を持たなければならない。なぜならそれはブラジルだからだ」と語っている。

 ドゥンガ監督は負傷したVfLボルフスブルク(VfL Wolfsburg)のジョズエ(Josue)に代わり20歳のサンドロ(Sandro Ranieri Guimaraes Cordeiro)を初招集し、マラドーナ監督は10年ぶりに35歳のマルティン・パレルモ(Martin Palermo)を招集して大きなサプライズを提供している。(c)AFP