【8月15日 AFP】国際天文学連合(International Astronomical Union)は14日、都市の照明により「星空を見る権利」が侵害されており、天文学者にとって悩みの種になっていると訴えた。

 同連合はブラジルのリオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で11日間にわたる総会を開催。その中で、各国当局は都市部における照明の使用量をもっと控え目にするべきだとの議論が交わされた。
 
 これを受けて同連合は総会最終日の14日に採択された決議案で、「夜空の星を見ることは社会文化的そして環境的な意味での基本的な権利だ」と主張。さらに、都市部の照明の使用量を減らすことは、夜空の星を観察しやすくするだけでなく、環境保護やエネルギー削減、観光促進にも役立つと述べている。

「裸眼では最高5000個まで星が見えるはずだが、照明のせいでわずか150個程度しか見えなくなっている」と、ブラジル人天文学者アウグスト・ダミネリ(Augusto Daminelli)氏はエスタド・ジ・サンパウロ(O Estado de S. Paulo)紙に語った。ダミネリ氏によると、都市部の照明の3分の1近くは上空を照らしているため結局は無駄になっているという。その解決策としては、街路の照明にアルミニウムのカバーをかけて光の方向を下に向け、もっと弱くてエネルギー効率の良い電球を使用する方法などがあると、同氏は提案している。

「全世界で天の川を見ることができない人の数は20億人以上に上る。人類にとって、星空は世界遺産の一種だ」とダミネリ氏は主張している。(c)AFP