【8月10日 AFP】アフリカ歴訪中のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は9日、訪問先のアンゴラで、同国を30年以上にわたって統治してきたジョゼ・エドゥアルド・ドスサントス(Jose Eduardo Dos Santos)大統領に対し、大統領選を実施するよう求め、アンゴラでの民主主義の推進に強い意思を示した。

 アフリカ大陸の南西部に位置するアンゴラは、ナイジェリアと並びサハラ砂漠以南の主要な産油国として知られているが、国民の3分の2は1日あたり2ドル(約195円)以下の生活を強いられている。米国の国務長官がアンゴラに1泊するのは、クリントン長官が初めて。

 クリントン長官は、同国の各方面の指導者や石油企業幹部らと会談し、エネルギー部門での緊密な協力関係を呼びかけた。アンゴラは中国への最大の石油供給国で、近年、中国の影響力が急拡大している。

 中国は人権問題については積極的ではないが、クリントン長官は、テレビ中継も行われた記者会見の席で人権問題に言及した。またドスサントス大統領に対し、大統領選の実施を求めた。ドスサントス大統領は、アンゴラが1975年にポルトガルから独立して以来、事実上アンゴアを支配してきた。

 クリントン長官は、02年に27年間の内戦に終止符を打ったアンゴラが08年に16年ぶりの「平和的かつ信頼できる」議会選挙を実施したことに「勇気づけられた」と語った。

 ドスサントス大統領は、新憲法の起草にはまだ時間が必要だとして、今年予定されている大統領選を延期する意向を示している。同大統領とクリントン長官は、10日に会談する予定。

 米政府高官は、「われわれは、アンゴラは正しい方向に向かっていると感じている。(クリントン長官の)メッセージは、米国はこの流れを維持していくことを後押しするということだ」と語り、クリントン長官はアンゴラに対し、指導関係ではなく、協力関係を進めていくとの姿勢を示したと強調した。(c)AFP/Shaun Tandon