【5月22日 AFP】エジプト・カイロ(Cairo)の裁判所は21日、レバノン人の人気女性歌手、スーザン・タミム(Suzanne Tamim)さん(当時30)の殺害を指示したとして殺人罪に問われていたエジプト政財界の大物、ヒシャム・タルアト・ムスタファ(Hisham Talaat Mustafa)被告に対し、死刑判決を言い渡した。このほか、タミムさん殺害を実行したエジプト人元警官にも死刑判決が下った。

 タミムさんは2008年7月、ドバイ(Dubai)の高級マンションで惨殺遺体で発見された。その後の調べによると、ムスタファ被告はタミムさんが英ロンドン(London)の高級百貨店ハロッズ(Harrods)で出会ったイラク人キックボクサーと結婚した後、実行犯の元警官にタミムさん殺害を依頼。警官はタミムさんの後をつけて自宅を割り出し、ビル管理人の関係者を装って玄関を開けさせると、タミムさんののどを切って殺害した。ムスタファ被告はこの警官に200万ドル(約1億9000万円)を支払ったという。

 ムスタファ被告は同年9月に逮捕、起訴された。被告は開発大手タラアト・ムスタファ・グループ(Talaat Mustafa Group)の元社長でエジプト諮問評議会議員。エジプトで財界の有力者が有罪になることは珍しい。ムスタファ被告の弁護士は記者団に対し、判決を不服として控訴する方針を明らかにした。(c)AFP