【3月19日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)は就任後初となるアフリカ歴訪2日目の18日、最初の訪問国カメルーンで、同地の司教らに対し、貧困層の権利やアフリカの家族制度の本質的価値を守っていくように訴えた。一方で、法王が歴訪初日に行った「コンドーム配布はエイズ(AIDS)対策の解決策ではない」との発言に対し、議論がわき上がっている。

 医療問題の改善を提言する団体MOCPATの広報担当者のAlain Fogue氏はカメルーンのヤウンデ(Yaounde)で、81歳の法王は現代世界からかい離していると指摘した。

 Fogue氏は「法王は本当に21世紀に生きているのだろうか」と疑問を呈し、「人びとは法王の言うことに従わないだろう。法王は天国、われわれは地上に住んでいるのだから」と皮肉った。その上で、「コンドームがエイズ問題を『悪化させる』と主張することは、カメルーン政府やカメルーン国内でエイズ問題に取り組んでいる組織などが行うすべての努力にまったく反することだ」と強調した。

 ローマ法王は17日、エイズについて、「資金のみで克服することはできない悲劇。コンドームの配布によって克服することもできないし、むしろ問題を悪化させる」と述べ、解決策は「宗教的、人間的な目覚め」、そして「苦んでいる者への友情」にあると語った。

 Fogue氏は、「法王が好むと好まざるとに関わらず、100人のうち99人のカトリック教徒はコンドームを使用している。『肉体は弱し』ということを知るべきだ」とするとともに、「法王は、カメルーンにはかなりの数のエイズ患者がいることを知らずにここに来たのか」と付け加えた。

 一方、バチカンのフェデリコ・ロンバルディ(Federico Lombardi)広報局長は18日、ヤウンデでの記者会見で、ベネディクト16世は「教育と責任という部分を強調された」と述べ、法王発言を擁護した。

 国連合同エイズ計画(Joint United Nations Programme on HIV/AIDSUNAIDS)の2007年の統計によると、カメルーンの人口約1890万人の中で、成人の5%以上がエイズに感染している。(c)AFP/Martine Nouaille