【7月31日 AFP】世界に残る数少ない絶対君主制国家、トンガのシアオシ・ツポウ5世(Siaosi Tupou V、60)は29日、国民への主権委譲に着手する意志を示した。国王の広報担当官が発表した。

 発表声明によると「民主主義を求める臣民たちの願いを満たすため、国王は自ら権限を譲る」としている。また、国王は王位継承はトンガの文化およびアイデンティティに不可欠としながらも、国民の意志を代表する選挙制議会政治の必要性を認識しているという。

 ツポウ5世は即位後、政治体制の「適切な変革」を約束していたが、今回の発表は権限委譲の可能性について最も明確に示した宣言となる。

 トンガは南太平洋に浮かぶ人口11万5000人の島国。ツポウ5世は、2年前の父のツポウ4世の死去をうけて王位を継承し、自らをトンガの変革者と自認している。

 ツポウ5世は即位前には事業家として知られ、電気事業や醸造所、航空業、通信事業などを広く手がけていたことから、即位に際しては異論も巻き起こった。国王は戴冠に際し、これらの事業からは手を引いている。

 いまだ独身のツポウ5世は、人生の大半をトンガ国外で過ごしている。また、勲章で飾った軍服を好み、首都ヌクアロファ(Nuku’Alofa)で使用する運転手付き自家用車に英国製のロンドン(London)タクシーを愛用していることなども有名だ。(c)AFP