【5月8日 AFP】2005年、ハリケーン「カトリーナ(Katrina)」が米メキシコ湾岸を壊滅させ、前年はアラビア半島(Arabian Peninsula)を大型のサイクロン「ゴヌ(Gonu)」が襲った。そして今年、通常より早い時期に発生したサイクロン「ナルギス(Nargis)」が上陸直前にカテゴリー1からカテゴリー4に発達し、ミャンマーを直撃した。

 多くの命や財産を奪ったこれらの災害の間に関連性はあるのか?地球温暖化のため、暴風雨が大型化するという警戒すべき傾向の1つなのだろうか?気候科学者たちの間で論争が巻き起こっている。

 気候変動とは数十年あるいは数百年かけて起こるパターンの一部であり、単一の事象をそこに結びつけることことはできない、ということでは専門家の意見は一致している。

 国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)が前年まとめた報告書の編さんにも参加したフランスの専門家Herve Le Treut氏も、「ある事象がより大きな流れの一部であるかどうかを判断するために必要な視野は、長い時間をかけなければ得られないもの」と言う。

 ただし、統一の見解はここまでだ。専門家の中には、「地球温暖化で海水の温度が上昇し、暴風雨が強大化する」と推定される傾向を裏付ける証拠は十分に固まった、と主張する専門家もいる。

 そのうちの1人、マサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of TechnologyMIT)のケリー・エマニュエル(Kerry Emanuel)教授(気象学)は、熱帯のサイクロンは1950年代のものに比べ威力が倍増したと考えている。過去30年間での暴風雨の急増は人間がもたらした地球温暖化を反映しており、地球の平均気温が毎年記録を更新し始めた1990年代からこの傾向は数段階進んでいる、と同氏は主張する。

 しかし、判断を下すには時期尚早で、明確な全体像をつかむには、天候の大きな変動やハリケーンの活動周期を取り除いた長期間のデータが必要、とする専門家もいる。Le Treut氏によれば、例えば、大西洋での暴風雨の活動はインド洋での活動よりもデータが多いが、それでも衛星を使ったモニタリングが始まった30年ほど前にしかさかのぼれない。

 スウェーデンの地質調査所(Geological Survey)に所属するJohan Nyberg氏が前年発表した研究では、カリブ海(Carribean)のサンゴをとりあげ、暴風雨による温度と養分の変化が成長に与える影響を、250年という長い期間で取り扱っている。同氏の研究は、1971年から1994年にはハリケーンの活動が異常に少なく、1995年以降の発生数の急増は、より長い記録に照らせば「めずらしいことではない」としている。

 熱帯性低気圧は、大西洋では「ハリケーン」、太平洋では「台風」、インド洋では「サイクロン」と呼ばれるが、発生要因は同じ。熱帯性低気圧発生の一因となる上昇気流に地球温暖化がどのような影響を与えているかはまだ解明されていない。(c)AFP/Richard Ingham and Anne Chaon