【4月14日 AFP】少子化が進む日本と、来園者減少に悩む海外のディズニーランド(Disneyland)。しかし、「ミッキーマウス(Mickey Mouse)と仲間たち」が熱烈なファンたちとともに開園25周年を祝う東京ディズニーリゾート(Tokyo Disney Resort)の「魔法」は、消えてはいないようだ。

 東京ディズニーランドは1983年4月15日、米国外では初のディズニーランドとして開園した。建設地となった千葉県浦安市の埋立地・舞浜は、本家がある米フロリダ(Florida)州マイアミ(Miami)にちなんで名付けられた地名。ホテル、ショッピングモール、水族館のディズニーシー(Tokyo Disney Sea)が入った複合リゾートとなり、間もなくスーパーサーカス「シルク・ドゥ・ソレイユ シアター東京(Cirque du Soleil Theatre Tokyo)」の常設劇場もオープンする。

■園内に増える親子2代ファンたち

 31歳の娘、54歳の妹と一緒にやって来たスガノトシコさん(57)は毎回、舞浜駅に着いた瞬間から「心の中で歌が聞こえ、足がステップを踏み出すようで」、25年前に初めて訪れたときと同じ感動を味わえるという。スガノさんにとって、ディズニーランドは日常生活から離れたまったく違う世界。来月迎える58歳の誕生日も「ここで祝わなければ」とまで入れ込んでいる。

 31歳の娘イズミさんは、これまでに100回以上は来たことがあるという「マニア」。母親の熱いキャラクターたちへの思い入れについて、。「母はミッキーに最初に肩を組まれたときは驚いていたけど、今ではミッキーを見つけると一目散で駆け寄っていく」とスガノさんを照れさせる。

 フジサワ・タカシさん(31)は、はるばる北海道から妻と3歳の息子を連れてやってきた。16年前に両親と来て以来、2度目のディズニーランドだという。「父親となって息子を連れてくるのは不思議な感じ」だと語り、シンデレラ城をバックにベビーカーで眠る息子の写真を撮った。

■「ディズニーランド育ち世代」が出生率の落ち込みをカバー

 日本の出生率が世界で最低レベルとなる中、東京ディズニーランドはスガノさんたちのようなディズニーアニメを見て育ち、開園時に自分の子どもたちを連れてきた年齢層もターゲットにし始めている。

 米ウォルト・ディズニー(Walt Disney)のグループとのライセンス契約の下、東京ディズニーランドを運営しているオリエンタルランド(Oriental Land)は3月、60歳以上向けの割引パスポートを登場させた。

 スガノさんはもちろん、このパスポートを手に入れる予定だ。あと2年で手に入れられると思うと「年を取るのも良いわね」と語る。

 毎年、ミッキーやミニー(Minnie Mouse)と迎える成人式が開催されるなど、人生の節目にディズニーランドを訪問する人たちも多い。

■世界でもダントツ、東京ディズニーの人気

 ディズニーランドとディズニーシーの入園者数は近年、年間2500万人前後を維持。開園1年目の990万人から飛躍的に増えた。1983年以降の両施設あわせた延べ訪問者数は4億3600万人に上る。

 オリエンタルランドによれば、2つのテーマパークからの年間収益は約2850億円で、海外のディズニーランドとは比較にならない好調さだという。香港政府が12月に発表した数字によれば、香港ディズニーランド(Hong Kong Disneyland)の入園者数は、2年目に23%も減少。15周年を迎えたユーロディズニー(Euro Disney)の2007年の入園者数は1450万人で記録は塗り替えたが、6年連続赤字だという。

 東京ディズニーランドが有利な背景には、日本が米国のポップカルチャーを広く受け入れていることや、年をとっても子どもたちと同じ趣味やファッションを大人、特に女性たちが追い求める風潮などがある。

 日本大学の仲川秀樹(Hideki Nakagawa)教授(社会学)は、ディズニーグッズを集めるために頻繁に訪れるファンがいるなど、ディズニーランドに行くこと自体が日本ではファッションになっていると語る。そうしたファンたちは多く行けば行くほど優越感を感じ、まわりの人たちも「必ず行かなければ」と思わせられるという。

 将来を見据え、ディズニーランドは大人向けに遊園地訪問だけではなく、数日間滞在のできる真のリゾートを目指している。

 東京ディズニーリゾートのホームページに掲載されている最新のPRには、ディズニーシーで食事やショーを堪能する今年還暦の夫婦が登場する。女性は最後に、夫と腕を組みながら「こんなにたくさん夫とおしゃべりするのは久しぶりです。今度は泊まる計画を立てて遊びにきたいと思います」と語っている。(c)AFP/Miwa Suzuki