【4月8日 AFP】食料・燃料価格の高騰に対する激しい抗議デモが前週から行われているハイチの首都ポルトープランス(Port-au-Prince)では8日、大統領府警備のため国連ハイチ安定化派遣団(United Nations Stabilization Mission in HaitiMINUSTAH)の部隊が出動する事態となった。非公式な統計によると、デモ発生から現在までに少なくとも5人が射殺されているという。

 目撃者によると、8日、抗議デモ参加者が大統領府に進入しようとしたため、警官隊との衝突となり、警察側が威嚇発砲などを行った。また、同日正午頃からは、ルネ・プレバル(Rene Preval)大統領の要請を受け大統領府付近に展開したMINUSTAHのブラジル軍部隊が威嚇発砲や催涙ガスなどでデモ参加者を排除したという。

 この抗議デモは前週、燃料・食品価格の高騰を発端に始まった。米120ポンド(約54キロ)の価格は35ドル(約3600円)から70ドル(約7200円)に倍増。ガソリン価格も2か月で3度も急騰している。

 ジャックエドゥアール・アレクシス(Jacques-Edouard Alexis)首相は、物価高騰が不満の元となっていることに理解を示しながらも、抗議デモを非難している。アレクシス首相は7日、若者の雇用促進と小売店に対する助成金を含む物価上昇対策として4200万ドル(約43億円)の緊急予算を発表した。

 地方都市でも抗議デモは激しさを増しており、地方議員が襲われる事件も発生している。このような事件には、麻薬密売組織や、2004年に南アフリカに亡命したジャンベルトラン・アリスティド(Jean-Bertrand Aristide)元大統領派の関与もささやかれている。(c)AFP