【3月11日 AFP】ハイチで7日、ブードゥー教史上初の「最高指導者」の任命式が行われた。ダンスホールは寺院に模様替えし、赤、黄、緑のスカーフを首に巻いて白い衣装をまとった数十人のブードゥー教信者たちが一心不乱に踊り、最高指導者マックス・ボーヴォワール氏(Max Beauvoir、72)を迎えた。

 ブードゥー教の僧侶の間には、これまで階層が存在しなかったが、このほど国立の「ハイチ・ブードゥー教信者」協会が設立されることになり、最高指導者を任命する運びとなった。

 ボーヴォワール氏は、バラの白い花びらをまく子どもたちに導かれ、深紅のカーペットの上を進み、木の幹で作られた冠をかぶった。そして、「ほかの宗教と競い合うのではなく、ハイチ社会におけるブードゥー教の立場を確立したい」と説教した。

 アフリカにルーツを持ち、島国ハイチに根付いているブードゥー教。信者は国内に900万人いるとされ、町の至る所でブードゥー教の行事を見ることができる。 

 ボーヴォワール氏は、人類学者で、宗教に関する多数の著書で知られる。同氏は、多くのキリスト教国で肩身の狭い思いをしているブードゥー教信者について、擁護する必要性を繰り返し主張してきた。

 ある僧侶は、「ブードゥー教の秘密主義と社会における疎外感から脱するためにも(僧侶間の)階層は必要」だと語っている。(c)AFP/Clarens Renois