【京都 7日 AFP】アジア開発銀行(Asian Development BankADB)は7日、アジア地域における急速かつ不均衡な経済成長に対応するための改革の方向性について、明確な一致を見ないまま年次総会を閉幕した。

 総会では、ADBは域内の中所得国により焦点をあてるべきとする提案に対し、多数の国々が不満を表明。キエット・チョン(Keat Chhon)カンボジア財務経済相は、67の国と地域の代表者らを前に「域内で中所得国が増加してる一方で、依然低所得国も存在しており、さらに今後もかなりの国々が貧困に苦しみ続けるだろう。我々は、ADBが当初の目的を達成するまで、引き続きこれらの低所得国の貧困を緩和することに焦点を当てるべきだと思う」と警告を発した。

 デービッド・アデアン(David Adeang)ナウル財務相もまた、太平洋地域の途上国を代表し「ADBは、加盟国の中でも最も貧しい国々が、経済成長および貧困を改善するために必要な環境を構築するための手助けをするという、非常に重要な役割を担っている。我々は、これらの小さく、脆弱(ぜいじゃく)で低成長の国々を見過ごすことはできない。これらの国々は、ADBの専門的な助言や支援に非常に大きく依存している」と発言。

 加盟国の代表らは、ADBが今後も引き続き域内の発展に関与していくため、改革を進めることには全般的に賛同したが、多くの国々が、数百万におよぶアジアの人々を貧困から救済するというADBの当初の義務を見失わないように訴えた。

 発足して40年以上がたつADBは、その新たな役割の構築を模索し、また輸出に後押しされたアジア地域の成長により、域内のほとんどの国々が2020年までに貧困から脱してるとの見通しを持っている。1966年の発足当初の主要な目的は、資金を募るための資本市場を形成できないアジアの途上国のために、資本市場を開拓することだった。

 現在ADBは、域内の経済協力と知識創造を促進させることに関し、より大きな役割を担おうとしている。そして、通信ネットワーク、道路建設、社会資本、さらには温室効果ガスの排出を減少させるための、クリーンエネルギー計画により多くの投資をしようとしている。

 写真は7日、フィリピンのマニラ(Manila)にあるADBの本部前で行われたデモに参加する人々。(c)AFP/Jay DIRECTO