【ソウル/韓国 6日 AFP】韓国では近年、東南アジアへの移住者が増えてきている。退職後の生活費をできるだけ節約したいと考える人、あるいは低額で英語教育を受けたい学生などだ。こうした経済的な理由に加え、南国での暮らしには、きらめく太陽という「おまけ」まで付いている。

 物価の高さにおいて、アジア屈指とされる韓国。定年退職後の生活維持に不安を覚える人々にとって、生活費の安価な東南アジアでの暮らしは魅惑的だ。最近のウォン高傾向も、東南アジアへの移住を有利にしている。

 一方、子どものために、より経済的な英語教育環境を求めている30代から40代の中産階級も、東南アジアに注目している。

 ソウルで事務用品を扱う仕事から退職し、前年3月にフィリピンへ移住したRomeo Yooさんは、「生活は苦しく教育費も高くなる一方だったので、韓国を離れる決心をした」と語る。

 Yooさんは現在、フィリピンのケソン市(Quezon)で、妻と子ども2人と暮らしている。一家の暮らしを支えるのは、ソウルでの不動産投資による月々の収益300万ウォン(約37.35万円)だ。

 韓国では通常、子どもが独立している定年退職後の夫婦なら、1か月150万ウォン(約19万円)程度で生活できるが、Yooさんの場合、「子どもがいるので、生活費が一般の人よりかかってしまう」という。

 言葉の障害や文化の違いにより困惑を覚えることが時折あるものの、基本的にはゆったりとした暮らしを満喫しているという。

 韓国では最近、Yooさんのように東南アジアへの移住を望む人々のニーズに応える旅行代理店が続々と登場している。これらの代理店は、シンガポールやタイ、マレーシア、フィリピンで韓国企業が行うマンション建設やリゾート開発への投資計画情報を提供している。

 Hana Tourも、そうした代理店の1つ。国内最大手である同社は、東南アジアへの投資や移住への関心の高まりを受け、2006年に同地域の長期滞在ツアーを開始した。

 同社担当者は、「長期滞在ツアー・プログラムは、まだ始まったばかりだが、退職者や子どもの教育を考える中年層から多くの問い合わせを受けている」と語る。また、2006年3月に海外不動産の購入規制が緩和されたことも、東南アジアへの海外移住ブームに拍車をかけているという。

 写真は、ソウルで開かれた東南アジアへの移住や留学に関する展示会で、出展社ブースで相談する来場者(2006年9月25日撮影)。(c)AFP/DONG-A ILBO