【ラクスミカンタプール/インド 28日 AFP】2月28日、フランス人作家のドミニク・ラピエール(Dominique Lapierre)が、インドで新たに15の学校を開設した。学校開設に使われた費用は、映画「ティファニーで朝食を」で女優のオードリー・ヘップバーン(Audrey Hepburn)が身につけたドレスのオークション落札金額で、まかなわれた。

■ジバンシィのドレスが、人助け

 伝説のハリウッド女優オードリー・ヘップバーンがホリー・ゴライトリー(Holly Golightly)役を演じた同作品は1961年アカデミー賞を受賞した。その中でオードリーが身につけていた光沢のあるブラックドレスはジバンシィ(Givenchy)が手掛けたもの。このイタリアン・シルク素材のドレスはデザイナーのユベール・ドジバンシィ(Hubert de Givenchy)自身がラピエール氏に手渡し、オークションに掛けられた。落札価格はおよそ825千ドル(約9702万円)にのぼる。

 オークションを行ったのは、インドのコルカタ(Kolkata:旧カルカッタ)を拠点に活動している非営利チャリティ団体「シティ・オブ・ジョイ・エイド(City of Joy Aid)」。ラピエールの著書「歓喜の街カルカッタ(La Cite de la Joie 原題)」の舞台となった場所だ。

 「オードリーがこの事を知ったらきっと喜ぶでしょう。天国にいる彼女は、「ティファニーで朝食を」の映画の中で自分が着たあのドレスが、インドに学校を設立することや、リハビリ施設を建てたりしていることができ、嬉しく思っていると思いますよ。」と、ラピエール氏は語った。

 大勢の人々、特に子ども達は「ドミニクお兄さん、素敵な贈り物をくれたこと絶対忘れないよ」と著者に感謝を表したという。

■オードリーの意志、受け継がれ

 また、ラピエール氏はラリー・コリンズ(Larry Collons)と共に、1947年英国から独立を果たしたインドについての著書「今夜、自由を(Celle nuit la liberte 原題)」を出版している。コリンズ氏もまた、コルカタが位置する西ベンガル(West Bengal)州に14の学校を設立する予定だ。

 「これは最後の人生を、貧困に苦しむインドの子ども達に捧げたオードリー・ヘップバーンへの賛辞なのです。」と、ラクスミカンタプール(Laxmikantapur)の学校の開設式でラピエールは述べた。ラクスミカンタプールはコルカタの南へ40kmほど行ったところに位置する村。

 ラピエール氏はインドに度々足を運び、コルカタのストリートチルドレンを助ける為、地元チャリティ団体に著書の印税を寄付している。

 800万部のベストセラーとなった「歓喜の街カルカッタ」は、貧しい街コルカタに住むローマ・カトリック教祭司の物語で、映画「シティ・オブ・ジョイ(City of Joy)」でも知られている。

 さらにラピエール氏は西ベンガルで貧しい人々の為に家を建てる傍ら、ハンセン病・コレラ・結核などの疾患治療にも大きく貢献してきた。

写真は、今回設立した学校の献辞儀式に出席したフランス人作家ドミニク・ラピェール氏。(c)AFP/Deshakalyan CHOWDHURY