【ウィーン/オーストリア 17日 AFP】15日、実業家のリチャード・ルグナー(Richard Lugner)氏主催による舞踏会がウィーンのオペラ座で開催された。舞踏会に参加した5000人のゲストの中には、大富豪ヒルトン家の令嬢で、女優のパリス・ヒルトン(Paris Hilton)の顔もあった。

■退屈そうなパリス

 ルグナー氏主催による第51回オペラ座舞踏会の目玉となったパリスは、報道陣の激しいフラッシュを浴びながら会場に到着。パリスの登場により騒然となった空気は、大臣たちの登場によって落ち着きを取り戻した。舞踏会では、オペラ座バレエ学校に通う学生たちがダンスを披露し、フランス人作曲家ジュール・マスネ(Jules Massenet)による『マノン(Manon)』が演奏された。

 オペラ歌手のアンナ・ネトレプコ(Anna Netrebko)氏は、ウィーン国立歌劇場総裁のヨアン・ホレンダー(Ioan Holender)氏と共に馬車で登場した。

 ボックス席でのパリスは若干退屈気味の様子。時折携帯電話を操作しながら、主催者のルグナー氏と共に舞踏会を鑑賞した。なお、今回の出席によってルグナー氏からパリスに‘わずかな’謝礼が支払われると一部メディアが報じている。

■舞踏会はテレビで同時中継も

 ステージでは、去年オーストリアの市民権を得たロシア出身のネトレプコ氏が『マノン』の「Je Suis Encore Tout Etourdie」をはじめとした数曲を披露。観衆の喝采を浴びた。今回が舞踏会デビューとなる176人の少女達は、白いドレスに身を包みティアラを頭に飾り登場。ショパン(Chopin)やヨハン・シュトラウス(Johann Strauss)の軽やかな曲にあわせ、燕尾服の男性陣にリードされながら初々しいダンスを披露した。

 ゲスト達は「アレス・ヴァルツァー(Alles Walzer)」や「美しき青きドナウ」に合わせ、優雅なダンスを堪能。「美しき青きドナウ」は、現在から140年前の1867年に作曲されたワルツの古典とも言える一曲だ。なお舞踏会の模様はオーストリアのテレビ局によって同時中継された。

■首相をはじめ大勢のセレブリティーが勢揃い

 今回が初参加というオーストリア首相のアルフレッド・グーゼンバウアー(Alfred Gusenbauer)大臣は、妻と共に会場に姿を現した。「非常に素晴らしい夜でした」とアルフレッド大臣。

 エイズ患者に対する理解と支援の象徴を表す‘レッド・リボン’を身につけて登場した政府首班は、スロベニア共和国首相のヤネス・ヤンシャ (Janez Jansa)氏やブルガリア人ノーベル賞受賞者Dimitre Dinev氏、ジスカール・デスタン(Giscard d’Estaing)仏元大統領と挨拶を交わした。デスタン氏は舞踏会に満足気の様子で「素敵ですね」とコメントした。

■動物愛護協会の登場でハプニングも

 夜も更け、メイン・ホールに響き渡るワルツの音は一層にぎやかに。マーブル・ホール(Marble Hall)にはカジノ場がセッティングされ、一部ゲストはすこし離れた位置にあるクラブへと場所を移した。

 毛皮のコートで舞踏会に登場するゲストたちに対し、動物愛護協会のメンバーが抗議するハプニングも起こった。会場エントランスには、毛皮を剥がれる赤ちゃんアザラシのアニメーションが映し出され、周辺警備には約300人の警官が配置された。

 なお入場チケットは約3万5千円(215ユーロ)で、ボックス席料金は約250万円(1万6千ユーロ)もの高値がつけられた。写真は15日、舞踏会でオペラを鑑賞するパリス・ヒルトン。(c)AFP/JOE KLAMAR