【リュブリャナ/スロベニア 1日 AFP】スロベニアが1日、欧州単一通貨ユーロを導入、13か国目のユーロ参加国となった。旧共産圏国の参加は初めて。2002年1月のユーロ紙幣・硬貨の流通開始から5年、2004年5月の欧州連合(EU)加盟から約3年、そして1991年6月の旧ユーゴからの独立宣言から約15年で、統一通貨導入を実現したことになる。

■初のユーロ使用者は、スロベニア中央銀行総裁

報道陣が見守るなか、スロベニア中央銀行のMitja Gaspari総裁が銀行で10、20、50ユーロ紙幣と硬貨を引き出し、スロベニアでのユーロ使用者第一号となった。

 中央銀行は、スロベニア国内で現在流通する2150億トラー(約1414億円)を、10億ユーロ(約1571億円)分の紙幣・硬貨に移行、流通させる考えだ。スロベニアの総人口は約200万。

 1日にユーロ紙幣・硬貨の流通が開始したとはいえ、スロベニアでは12月30日から1月3日まで銀行は休業日だ。しかし、1月1、2日に例外的に営業する52の支店では、トラーからユーロへの両替が可能。

トラーとユーロの同時流通期間は、1月1日から2週間のみで、それ以後はスロベニアでの使用通貨はユーロのみとなる。

■ユーロ導入以前のスロベニア通貨は東欧の小国の象徴

スロベニアのユーロ参加は2006年7月のEU蔵相会議で承認された。それ以後、スロベニア政府や中央銀行は、スロベニア版ユーロ硬貨の鋳造、各銀行への新紙幣配付など、移行に向けた大規模な準備作業に追われてきた。

 先日、AFP記者とのインタビューに応じた ヤネズ・ヤンシャ(Janez Jansa)首相は、ユーロ導入について「スロベニア経済への効果だけでなく、心理的な効果も期待している。先進国が多く加盟するEUと密接な関係を築くことで、スロベニア国民にも自信が生まれるだろう」と語っている。

 ユーロ導入以前のスロベニア通貨、トラー(tolar)は、東欧の小国の象徴であった。この通貨は、旧ユーゴのスロベニア経済支配からの断絶を目的に独立を遂げた1991年に導入された。

 12月29日に、トラーから新通貨へ移行準備の完了を宣言したアンドレイ・バユク(Andrej Bajuk)財務相は、この移行について「素晴らしい物(トラー)を、さらに良い物(ユーロ)に換えるという選択」と説明した。直近の為替レートによると、1ユーロは239.64トラー。

 スロベニアに続いてキプロスとマルタが2008年、スロバキアが2009年にユーロを導入する。また、チェコが2012年、ハンガリーが2013年を目標にユーロ参加を予定している。

 写真は首都リュブリャナ(Ljubjana)で、新しく登場するスロベニア版ユーロ硬貨のセットを見せる女性(2006年12月15日)。(c)AFP/Stringer