米国の報復関税の中で、中国・消博会が示す市場の安定性
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【4月21日 CNS】4月13日から18日にかけて、第5回中国国際消費財博覧会(通称「消博会」)が中国・海南省(Hainan)海口市(Haikou)で開催された。2021年に初開催されて以来、消博会はアジア太平洋地域で最大規模の高級消費財展示会へと成長し、世界各国の企業にとって中国市場に参入する窓口であると同時に、中国企業が海外展開するための重要なプラットフォームとなっている。
消博会は、中国で初めて「高級消費財」をテーマに掲げた国家レベルの展示会であり、グローバルな高品質消費財の展示・取引を促進することを目的としている。現在、中国は世界第2位の消費市場であり、需要構造の高度化が進む大規模な成長市場でもある。
中国(海南)改革発展研究院の副院長である匡賢明(Kuang Xianming)氏は、中国の消費市場が拡大し続けていることを次のように説明する。たとえば、社会消費品小売総額は2001年には4.2兆元(約81兆3019億円)だったが、2024年には48.3兆元(約934兆9720億円)まで増加した。また、国民1人あたりの年間消費支出も、2001年の4018元(約7万7778円)から2023年には3万6002元(約69万6912円)まで増加している。
消費の形態も多様化が進み、新しい消費シーンや商品カテゴリーが次々と登場している。AIの消費分野での応用が広がり、チャットアプリやオフィスソフト、オンラインカスタマーサポート、創作ツールといった従来のインターネットサービスとの融合により、新たな消費の動きが見られる。消博会は世界の高級ブランドや優れた製品を集め、中国国内の消費回帰を促す拠点にもなっている。
2021年の第1回消博会では、1505社の企業と2628の消費財ブランドが出展したが、今年の第5回では、すでに71の国・地域から4100以上のブランドが出展しており、世界の500強企業や業界トップの企業65社が参加するなど、年々規模が拡大している。
また、こうした動きに合わせて新しい消費形態の企業も多く参加し、中国国内の消費構造の高度化にも応えている。たとえば、第5回では初めて「新消費テクノロジー展示エリア」が設けられ、スマート自動車、AI搭載スマートフォンやPC、ロボット、スマートウェアラブル製品、物流用ドローンといった新たな消費財や技術が集中して展示された。
この数年で、消博会は国際的な消費分野の協力促進において多くの役割を果たしてきた。たとえば、中国の高品質な消費財が海外に進出するきっかけをつくる一方で、海外企業にとっては中国市場にアクセスする窓口ともなっている。また、消費のトレンドと新技術の統合を推進し、越境物流・倉庫管理・決済システムなどのイノベーションを通じて、グローバルな消費財流通コストの削減にも貢献している。さらに、ハイレベルな対外開放を通じて消費分野の地域協力を深化させており、東南アジア諸国連合(ASEAN)の特色商品(タイの天然ゴム、マレーシアの燕の巣など)と中国国内の販路のマッチングも進んでいる。中日韓の間でも、化粧品や電子製品分野において産業チェーンの相互補完が進んでいる。
米国がいわゆる「報復関税」と称して国際経済秩序を揺るがすなかで、中国市場のもつ安定性と成長の確実性は、グローバル市場にとっても重要な支えとなっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News