中国の野生化トキ、長距離飛行の記録を樹立
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【4月14日 Xinhua News】中国山東省の黄河口トキ野生化研究基地はこのほど、トキ野生化プロジェクトで放鳥したトキの1羽(識別番号162)が、3月19日に11時間かけて260キロ以上移動し、中国のトキの野生化個体群の移動観測史上で、終日飛行と連続飛行距離の二つの新記録を打ち立てたと明らかにした。
162号は同日午前5時40分、山東省東営市利津県塩窩(えんか)鎮を飛び立ち、1時間後に渤海に進入。4時間かけて海を渡り、天津港区に到着し、さらに5回の休息を経て河北省滄州市にたどり着いた。衛星測位システム「北斗」の追跡により、162号が強い気流の中でも時速30~50キロの飛行速度を維持し、渤海を無事に横断したことも分かった。
全国鳥類環志(足環)センターの劉冬平(りゅう・とうへい)副研究員は今回の発見が「従来の認識を覆した」と指摘。トキは短距離分散型の鳥類と考えられ、これまで確認できた連続飛行距離も約40キロに過ぎなかったが、162号は200キロ近くを連続飛行したほか、正確な海上飛行能力も示したと説明し、トキの東部移動個体群の回復に新たな希望をもたらしたと語った。
追跡データによると、162号は4月5日時点で山東省浜州市無棣(むてい)県車王鎮におり、1時間ごとに自動測定される体温や飛行高度、速度などのデータから、良好な健康状態を保っていると推測される。 山東黄河デルタ国家級自然保護区(山東省東営市)の王安東(おう・あんとう)高級工程師(シニア技師)によると、同保護区のトキは野生復帰研究のために陝西、河北両省から導入され、2024年10月に第1陣の6羽が野生復帰した。うち4羽に衛星追跡器と足環が付けられており、162号以外の3羽もそれぞれ寿光市、東営区、利津県へ移動している。保護区のトキは現在、繁殖期を迎えており、繁殖期が終わり次第、餌探しや飛行能力に優れた3~4羽を選んで第2陣の野生化放鳥を行い、中国東部の沿岸湿地での野生個体群の形成を目指す。(c)Xinhua News/AFPBB News