【4月14日 Peopleʼs Daily】新しい雪の季節が始まって以来、中国全土で氷雪への熱狂が高まっている。河北省(Hebei)では様々な氷雪イベントが次々に開催され、吉林省(Jilin)では樹氷や雪遊びが人気のアクティビティとなり、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)では多くのスキーリゾートが施設を拡張やアップグレードを行い、観光客のリゾート体験を向上させている。

 近年、中国では氷雪スポーツが盛んになり、氷雪観光の人気も高まり続け、消費を促し、地域開発を後押ししている。

 週末、吉林省の長白山(Changbaishan)の「万達(Wanda)国際スキーリゾート」のロープウェイ乗り場には長蛇の列ができている。北京のスキーヤー・張瑶(Zhang Yao)さんはその列に並ぶ一人だ。彼女は2018年にスキー場が多く集まる河北省張家口市(Zhangjiakou)の崇礼区(Chongli District)を訪れたことがきっかけでスキーに魅了された。それ以来、毎年雪の季節になるとスキーリゾートに出掛けるようになった。彼女はすでに北京、河北、吉林など各地の多くのスキーリゾートに足跡を残している。

 氷雪スポーツの旺盛な発展は、業界の発展の強力な後押しとなった。データによると、北京冬季オリンピックの成功以来、ウインタースポーツに参加する国民の人数は3億1300万人に達し、そのうち2億6400万人が23年の冬から始めた人たちだった。

 中央財経大学体育経済研究センターの王裕雄(Wang Yuxiong)センター長は「社会経済の発展と生活水準の向上に伴い、スポーツに対する需要が消費者の消費熱を刺激している。その中で氷雪経済には依然として大きな潜在力がある」と強調している。

「大衆氷雪消費市場調査報告(2023-24年氷雪期)」によると、23-24年の氷雪シーズンの消費規模は1500億元(約3兆840億円)を超え、ウインタースポーツに参加する住民のうち72.73%が氷雪消費を行ったという。

 氷雪イベントの集中的な開催が継続的な消費の拡大につながっている。
24年12月以来、河北省崇礼区の「雪如意(Xueruyi)ナショナル・スキー・ジャンプ・センター」では「FIS(国際スキー・スノーボード連盟)スキージャンプ・コンチネンタルカップ」と「スキージャンプ女子ワールドカップ」が相次いで開催され、来場者数は前年比250%増となった。

 北京首鋼園区(Shougang Park)で開催された「FISスノーボードとフリースタイルスキー・ビッグエア ワールドカップ」では、来場者数が延べ14万人近くに達し、周辺の飲食や宿泊消費が大幅に増加した。

 吉林北大湖(Beidahu)スキーリゾートでは20以上のイベントが開催され、氷と雪に対する人びとの関心が大幅に高まった。

 新疆では、自然の地形を滑ってそのテクニックやスタイルを競う「フリーライド・ワールドツアー(Freeride World Tour)」に国内外のスキーのエキスパート100人以上が参加した。また「冬釣り祭」などの関連イベントと相まって「冬は新疆でスキー」というフレーズのブランド効果が一層高まった。

 データによると、23年から24年の冬シーズンでは、中国で氷雪レジャー観光に参加する人数は延べ4億3000万人に達した。24年から25年の冬シーズンには5億2000万人に達すると予想されている。

 氷雪観光には新たなシーンも登場している。京劇の代表的な演目「天女散花(Tiannu Sanhua)」の楽曲に合わせ、京劇の衣装を身にまとった多くのスキーヤーたちが、のびのびとゲレンデを滑り降りている。最近「吉林万科松花湖(Wanke Songhuahu)リゾート」のスキー場は、伝統の中国風のトレンドが生み出されている。有名な中国オペラの抜粋が次々と上演され、氷の彫刻展示や民族的な風習のショーなども次々と登場し、多くの観光客を惹きつけている。

 リゾートの趙蘭菊(Zhao Lanju)ゼネラルマネージャーは「昨年11月下旬のオープン以来、リゾートの来客数は急増し、週末には延べ5000人を超える来客があった。我々は来客のリゾート体験を一層豊かなものにするため、中医ヘルスケア施設、中国風コンテンツ伝統演劇などなど吉林の歴史と文化をテーマにした特別なアクティビティで、観光客を楽しませるだけでなく、氷雪という窓を通して、中国の優れた伝統文化を世界に紹介していきたい」と話している。

 氷雪資源が比較的乏しい南部地域も新たなチャンスを狙っている。重慶市(Chongqing)では氷雪をテーマにした150以上の活動と80余りの冬季観光ルートが開始され、冬季消費ブームが巻き起こっている。

 湖北省(Hubei)では、スキーや温泉などの主要プロジェクトを対象に、一般市民のため1億元(約20億5600万円)の「文化・観光券」を発行する予定だ。広東省(Guangdong)の屋内スノーパークは、季節の制限をなくし、雪好き人びとのニーズに応えている。

 体育経済研究センターの王裕雄センター長は、消費需要の個性化と多様化が進むにつれ、「氷雪プラス」を探求する動きはますます豊富になり、消費シーンも多様化すると考える。

「中国氷雪産業発展研究報告(2024)」は、中国の氷雪産業の規模は15年の2700億元(約5兆5512億円)から24年には9700億元(約19兆9432億円)に成長し、今年は1兆元(約20兆5600億円)の大台を超えると予測している。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews