【4月7日 Xinhua News】中国浙江省森林資源モニタリングセンターはこのほど、研究チームが長江上流部の支流の大渡河流域で、盲目の洞窟魚の新種「川洞山鰍」(川洞ヤマドジョウ)を発見したと明らかにした。四川省での洞窟魚の発見は初めて。長江本流以北の地域でも初の典型的な洞窟魚の発見となり、研究成果は3月26日、国際学術誌「Zoosystematics And Evolution」に掲載された。

 川洞山鰍は四川省の洞窟探検隊が2022年5~6月に大渡河流域で偶然に発見。中国農業大学と中国科学院水生生物研究所、浙江省森林資源モニタリングセンターによる合同研究チームが系統的な研究を行い、新種であると確認した。

 論文の責任著者、浙江省森林資源モニタリングセンター生物多様性モニタリング研究所の周佳俊(しゅう・かしゅん)エンジニアによると、川洞山鰍の眼球は既に退化し、皮膚の下に埋没している。体色は薄い灰色または淡いピンク色で、色素沈着がまばらに見られる。形態学的、分子系統生物学的な研究結果は、川洞山鰍が長江上流に広く分布する地表性種「戴氏山鰍」(戴氏ヤマドジョウ)の近縁であることを示しているが、洞窟という極限環境に適応したことにより、独自の外形特徴へと進化した。

 中国南西部のカルスト地域には170種以上の洞窟魚が生息しているが、分布範囲は長江本流とその南部地域に限られている。川洞山鰍の発見により、中国での典型的な洞窟魚の分布範囲は大きく広がった。四川洞窟探検隊の英語名称「Sichuan Cave Exploration Team、SCET」にちなみ「Claea scet」と名付けられ、中国語では「川洞山鰍」と命名された。(c)Xinhua News/AFPBB News