【三里河中国経済観察】博物館グッズが大人気 文化消費市場を牽引する冷蔵庫マグネット
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【4月7日 CNS】「博物館の文創グッズ(文化や芸術をベースにした創造的な商品)は小さくても、ビジネスチャンスは大きい」
「ちょっとした博物館グッズが、実は巨大な市場を動かしている」――中国の全国人民代表大会・全国政治協商会議(両会)で、文化観光部の孫業礼(Sun Yeli)部長が特に言及したのは、ある博物館の冷蔵庫用マグネットだ。
昨年夏、中国国家博物館(National Museum of China)が明代の孝端皇后の鳳冠(ほうかん)をモチーフにした冷蔵庫マグネットを発売したところ、瞬く間に人気商品となった。この小さな博物館グッズが、短期間で同シリーズ商品の売り上げを1000万元(約2億円)以上に引き上げた。同博物館では過去20年間で最も売れた商品になった。
これと似たケースで、北京では「天宮藻井」をモチーフにした冷蔵庫マグネットが話題となり、朝5時に博物館の外で行列ができるほどの人気ぶりだ。現在でもこのマグネットを手に入れるには、オンライン予約が必要で、予約枠はすぐ埋まってしまうという。
博物館グッズの人気は、文化に対する自信を背景に、消費の高度化や産業のアップグレードが追い風となっているためだ。最近は「かわいい」「おしゃれ」「面白い」をテーマに、アイスクリーム、キーホルダー、タンブラー、冷蔵庫マグネット、トートバッグなど、魅力的な文創グッズが続々登場している。
甘粛省博物館(Gansu Provincial Museum)が「麻辣湯(マーラータン、Malatang)」をテーマにしたグッズを出すと、博物館内で実際にマーラータンが提供されるなど、博物館の枠を超えたユニークな企画も増えている。昨年夏、上海博物館(Shanghai Museum)で開催された「金字塔の頂:古代エジプト文明展」は、1日の来館者数が1万人を超え、関連グッズの売上額が8000万元(約16億5982万円)を突破し、地域の経済効果は10億元(約207億4770万円)を超えた。
人気博物館グッズの成功は、地域の雇用促進や所得向上にも貢献している。こうした文創産業(文化クリエーティブ産業)の急速な発展により、専門的な文創プロデューサーへの需要も高まっている。
専門家は、「博物館グッズの成功には、デザインと物語が欠かせない」と指摘する。デザイナーは消費者のニーズを把握し、博物館スタッフは展示品やその歴史を熟知しているため、この二者がうまく連携してこそ、魅力的な商品が生まれるのだという。
博物館グッズは、一方で歴史や文化とつながり、一方で私たちの日常に寄り添う。小さな博物館グッズのブームが、中国の伝統文化に新しい活力をもたらしている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News