【3月29日 AFP】イスラエル軍は29日、パレスチナ自治区ガザ地区で救急車と消防車を「不審車両」と見なして発砲したことを認めた。この件についてイスラム組織ハマスは「戦争犯罪」だと非難し、少なくとも1人が死亡したと主張している。

事件は23日、エジプトとの境界に近いガザ南部ラファのタルアルスルタン地区で発生した。

イスラエル軍はAFPの取材に対し書面で、同軍は「イスラム組織ハマスの車両に発砲し、ハマスのテロリスト複数人を排除した」「数分後、さらなる車両が不審な様子でわが軍に向かってきた。軍は不審な車両に発砲し、ハマスと(同組織と共闘する過激派)イスラム聖戦のテロリスト複数人を排除した」と主張した。

車両から発砲があったかどうかには言及しなかった。

同軍は「初動調査の結果、不審車両の一部は救急車と消防車だったことが判明した」と補足し、「テロ組織がテロ目的で」救急車を繰り返し利用していると非難した。

事件翌日の24日、ガザ民間防衛当局は声明で、死傷者に対応するためにタルアルスルタンから救急出動した救急隊員6人の消息が途絶えたと発表。

同当局は28日、救急隊のリーダーの遺体、救急車と消防車1台ずつを発見したと報告し、パレスチナ赤新月社の車両1台も「金属くずの山と化した」と付け加えた。

ハマス政治部門のバセム・ナイム氏は、イスラエルが「民間防衛当局とパレスチナ赤新月社のチームに対して意図的で残忍な虐殺」を行ったと非難。

「国際人道法で保護されている救助隊員を標的とした殺害は、ジュネーブ条約の明らかな違反で戦争犯罪だ」と訴えた。(c)AFP