【三里河中国経済観察】「T6666」列車が話題に――鉄道と観光の新たな形
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【3月31日 CNS】「この列車に乗ると、なんだか運気まで上がった気がする!」
最近、中国で「T6666次列車」がネット上で話題になっている。列車番号の「6666」が中国語の発音で「とても順調」「最強に縁起がいい」といった意味を持つことから、「全国一『順調』で『縁起のいい』列車」として注目を集めているのだ。
「なんだか運命に選ばれたような気分」「子どもの6歳の誕生日にT6666に乗れた、最高!」「なぜこんなに番号にパワーがあるのか?それは歴史の原点へ向かうから……」
ユーモラスなコメントとともに、この数字の背景には深い意味があるという声もある。T6666は単なる「ラッキーナンバー」ではなく、まるで時空を超えた座標のように、旅人を歴史の旅へと導いている。
41.5元(約861円)の硬座チケットで、3時間37分の旅。始発は河南省(Henan)の三門峡西駅。このT6666次列車は、仰韶(ぎょうしょう)文化遺跡、洛陽市(Luoyang)夏都遺跡、鄭州市(Zhengzhou)商都遺跡など黄河文明の中核地を低価格で巡ることができる「歴史旅列車」として設計されている。
数千年に及ぶ中国文明が、現代の暮らしと列車内で共鳴し合う。この「T6666」モデルは、単なる偶然ではなく、中国全体が取り組む「鉄道+文化観光」の融合・イノベーションの象徴でもある。
「T6666」モデルの新しさとは?
■ 新ブランドの誕生
鉄道部門はその強みを活かし、次々と新たな文化観光専用列車を開発している。
たとえば「環西部火車游(西部周遊列車)」は、甘粛省(Gansu)の張掖丹霞地貌(Zhangye Danxia landform)や敦煌市(Dunhuang)の壁画を車窓に映しながら進み、まるで映画のような風景が流れる旅を提供。
山東省(Shangdong)の「曲阜尼山号」では、拓本体験や論語クイズなど、儒教文化を感じながらの旅が楽しめ、車内で配布される乗車券を使えば、孔子(Kongzi)ゆかりの「三孔景区」が半額になるといった仕掛けも用意されている。
■ 旅の「全過程」がエンタメに
観光が終点で爆発するのではなく、移動そのものが体験価値となるのが特徴だ。
湖北省(Hubei)のY152次列車は、山海関から北端の漠河までの長距離列車で、複数の観光地を一本の路線で巡ることができる。一方、「軌道上の長江デルタ」プロジェクトでは、江南の水郷をつなぐ鉄道網が整備され、詩的な風景を車窓から楽しむ新たな文旅圏が生まれつつある。
■ 実績と効果も目覚ましい
2024年春、陝西省(Shaanxi)では「菜の花」「梨の花」観賞用の特別列車が走り、漢陰県や蒲城県などの観光地に観光収入200万元(約4149万円)をもたらした。さらに周辺地域では20万人以上の個人旅行客や自家用車観光客を呼び込んだ。
また「パンダ専列」では、四川成都鉄路国際商旅集団が2024年だけで358本の観光列車を運行、21.4万人の観光客を動員し、6.5億元(約134億8600万円)の観光消費を生み出した。このうち7800人は外国人観光客だったという。
中国国家鉄路集団によると、2024年には観光列車を全国で1860本運行。新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)、雲南省(Yunnan)、黒竜江省(Heilongjiang)といった人気観光地に集中し、輸送した観光客は100万人を超えた。
その背景には、日々整備される鉄道インフラの力がある。2024年、中国全体の鉄道固定資産投資は8506億元(約17兆6479億円)に達し、前年比11.3%増。新たに開通した鉄道路線は3113キロ、そのうち高速鉄道が2457キロを占めた。
また、路線の複線率は60.8%、電化率は75.8%。「交通強国」「文化強国」戦略の融合が進むなか、鉄道部門はチケット情報の事前入力や注文の自動送信といったデジタル化サービスを導入し、より便利で快適な文旅体験を提供している。
交通網が広がれば、文化の広がりも加速する。960万平方キロの中国大地を「文化と旅」の糸で編み上げる「ソフトとハードの両輪」が、鉄道業界の次なる進化を支えている。
黄河流域からチベット高原まで、T6666のような列車は、日々の運行のなかで中国文化の伝承と観光産業の高品質発展という「両輪の前進」を象徴している。
1枚の切符が、1つの歴史旅のスタート地点となる――そんな鉄道の新しい物語が、今も各地で走り続けている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News