中国の研究者 タンパク質の指向性進化を実現できる大型モデルを発表
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【3月27日 CGTN Japanese】中国上海交通大学の洪亮特任教授が率いる研究チームは22日、タンパク質の指向性進化を実現できる大型モデル「Venus(ビーナス)」を発表しました。現在、同モデルが設計した多くの製品は産業化応用の段階に入っています。
洪教授によると、自然界にはタンパク質を構成するアミノ酸が20種類余りあり、1つの分子には数十から数百以上のアミノ酸が含まれています。タンパク質の働きには熱安定性、活性、親和力などの特徴があります。従来の経験や高スループット実験に頼る方法と比べ、大型モデル「Venus」はタンパク質の配列から機能までを予測することができます。対象タンパク質の特定の機能を強化したい場合、そのタンパク質の配列情報を提供するだけで、Venusはそのタンパク質の配列を最適に変更させる設計案を迅速に提出することができます。その後、実験による検証と組み合わせることで、最適な変更案を導き出すことができます。
同研究チームは数十億のタンパク質の配列をデータベース化し、従来の地上生物から極端な環境下の微生物まで、そのタンパク質の配列情報を網羅してきました。それにより、過酷な応用ニーズを満たし、従来とは異なる機能を持つタンパク質を的確に見つけることができます。Venusを利用して、これらタンパク質によるバイオテクノロジーや医薬品の開発、産業生産への応用開発が見込まれています。
また、上海交通大学自然科学研究院の金石院長は、「タンパク質の設計における大型モデルは、タンパク質の配列から機能までの科学研究の新たな方向を切り開き、人工知能(AI)と生物学的交差の工学的応用の道をも切り開いた」と述べました。
Venusが設計した多くのタンパク質はすでに産業化応用の段階に入っています。例えば、活性も安定性も高く、純粋な製品のPET分解酵素や、過敏性検査と診断に用いられる高活性のアルカリ性リン酸モノエステルの加水分解酵素(ホスホモノエステラーゼ)などです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News