【3月25日 CGTN Japanese】国際的な学術誌『ネイチャー』(オンライン版)は北京時間20日未明、中国の研究チームによる論文を掲載しました。論文は、中国の科学者が31万6000種類以上の細菌ゲノムから遺伝子クラスターをスクリーニングすることで、多剤耐性真菌に対して強い対抗力を示す、前臨床段階での新たな候補化合物を発見したことを明らかにしました。

 多剤耐性真菌による感染は人類の健康に対する深刻な脅威です。そのため、薬剤耐性を解決する治療薬を研究開発することは極めて重視され、関連する動きが注目されています。マンディマイシン(mandimycin)と命名された中国の研究チームが発見した化合物は、抗真菌性の微生物由来のポリエンマクロライド系抗生物質の一つです。研究チームは実験を通して、マンディマイシンはポリエンマクロライド系の典型的な標的物質である細胞膜上のエルゴステロールには結合せず、真菌の細胞膜にあるさまざまなリン脂質に結合することを明らかにしました。このメカニズムは、臨床使用されているアムホテリシンBなど、エルゴステロールを標的にする抗真菌剤に耐えている病原体を、マンディマイシンが効果的に撃退できることを意味します。

『ネイチャー』に掲載された同分野の国際的な専門家の文章は、中国のこの論文の執筆者が動物感染モデルを用いて、世界保健機関(WHO)が研究と公衆衛生活動の重要な優先リストに入れた真菌のカンジダ・アウリスなどの一連の病原真菌に対するマンディマイシンの効果をテストした結果、マンディマイシンの効果はアムホテリシンBよりも強く、かつ腎毒性が低いことを確認したと評価しました。

 研究チームの責任者は、「マンディマイシンは独特の構造的特徴と新たな標的を持つことによる大きな潜在力を示しており、多剤耐性真菌感染に対抗する次世代抗生物質になることが期待できる」と説明しました。ただし、一方ではリン脂質を標的とするメカニズムが副作用をもたらす可能性があるため、研究チームは毒性メカニズムを深く調べ、臨床上の安全性と有効性を全面評価するとのことです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News