世界最高海抜の超高圧直流送電プロジェクト・中国
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【3月30日 Peopleʼs Daily】超高電圧の送電線は中国で「電気の高速道路」と称される。
チベット自治区(Tibet Autonomous Region)、四川省(Sichuan)、重慶市(Chongqing)、湖北省(Hubei)をつなぐ総延長1901キロメートルの「金沙江上流(Jinshajiang)から湖北へのプラスマイナス800キロボルト超高圧直流送電プロジェクト(以下「金上至湖北・特高圧」と略す)」は、世界最高の海抜の超高圧直流送電プロジェクトだ。
完成すれば、金沙江上流の水力、風力、太陽光エネルギーの電力を集め、数千キロ離れた湖北省まで瞬く間に電気を送り、年間約400億キロワットアワー(kWh)の電力を華中地方に供給する能力を持つことになる。1700万トン以上の石炭を代替し、年間約3400万トンの二酸化炭素(CO2)排出量を削減できると推定されている。
「なんと海抜4797.9メートルだ!」、昨年10月、四川省甘孜チベット族自治州(Tibetan Autonomous Prefecture of Garze)巴塘県(Batang)を出発する「金上至湖北・特高圧」送電線が「色烔瑪山(Setongma)」の嶺を越え、湖北省まで到達し、超高圧送電線建設における世界最高海抜の新記録を樹立した。高さ約65メートル、重量約85トンの鉄塔が、雪を頂いた山々に美しく映えている。
「金上至湖北・特高圧」の「川4ブロック」の責任者・施銘青(Shi Mingqing)さんは「我々の受け持ちは沿線全体で最も海抜が高い入札区画で、海抜3700~4800メートルとなる。一部の地域では導線を覆う氷の厚さは最大60ミリにもなる。作業員は酸素不足になりやすく、通常の機械設備では性能に影響が出る」と説明する。
施さんの説明によると、今回のプロジェクトでは高地作業用の特殊な機械設備が使用され、現場には携帯酸素や医薬品などが用意され、工事の円滑な進行が確保されたという。
チベット高原の東南部「川蔵高原(Chuanzang Plateau)」の中腹を通過する初めての超高圧直流送電プロジェクト「金上至湖北・特高圧」を建設するためには、多くの困難な課題を克服する必要があった。
まず、輸送の困難さだ。例えば、「金上至湖北・特高圧」の四川区「川10ブロック」では、最大傾斜65度の尾根に113基の鉄塔を建てる必要があった。鉄塔建設に必要なおよそ7万5千トンの資材を、山奥の尾根までどのように輸送するか、これが建設チームにとって最初に解決すべき問題だった。
「川10ブロック」の責任者・鄒忠旋(Zou Zhongxuan)さんは「建設チームはまず合計36キロメートルにおよぶ6本の道路を建設した。生態環境を最大限に保護するため、仮設道路建設が必須な場所以外では、ロープウェイによる資材輸送を採用した。合計82基、総延長60キロメートルにおよぶ資材運搬用ロープウェイを建てた」と話す。
「四川省瀘定県(Luding)から建設現場までは、S字やU字カーブが100か所以上ある。またロープウェイによる資材の輸送量は1日当たり平均5トン未満だ。143トンの鉄塔の場合では、全て上手く行っても1か月はかかる。しかも最も重い鉄塔は1基400トン近くにもなる」、鄒さんは輸送の困難さをこう解説した。
複雑な地理環境がもたらす建設リスクも大きな課題だった。重慶区間では、山地が60%以上を占め、高速鉄道と高速道路を跨ぐ工事が9か所、船舶が航行する河川を跨ぐ工事が6か所、重要な送電線との交差が30か所あった。
湖北省区間では長江を越える工事が2か所あった。また、恩施トウチャ族ミャオ族自治州(Enshi Tujia and Miao Autonomous Prefecture)の恩施区間では60%が石灰岩のカルスト地形で、至る所に鍾乳洞が分布しているような地盤に鉄塔の基礎を築くのは大変難しかったという。
あまたの困難を乗り越えて、「金上至湖北・特高圧」プロジェクトは、自らの工夫と努力でイノベーションを繰り返し、従来の高圧送電技術、設備、建設の能力レベルを突破し続けた。
「視界はわずか100メートル。ワイヤーは慎重にゆっくり引っ張れよ!」四川省雅安市(Yaan)滎経県(Yingjing)の現場では、鋼鉄ワイヤーを牽引用の滑車板に連結し、2本の直径4.3センチメートルの導線を引き上げ、導線がゆっくりと空中に上がっていく。
牽引現場の技術者は、滑車板と導線の動きを観察しながら、数キロメートル離れた場所にある牽引機械の操作員とトランシーバーで連絡を取り合っていた。
今回のプロジェクトでは、従来の架線工事とは異なり、架線敷設プロセスを事前にシミュレーションし、主要機器の稼働状況をリアルタイムで監視し、データを現場の制御指令センターに統合できる「パノラマ視覚化システム」と「インテリジェントシミュレーション張線システム」が用いられた。これにより、工事効率が約25%向上し、信頼性も大幅に改善された。
ところで、送電線開通後の効果はどうやって測定し、その後のメンテナンスや運用はどのように行うのだろうか?
重慶では、電力会社が革新的な研究開発で、「自走式送電線検査ロボット」を開発し、ドローンを使って素早く吊り上げ、送電線の上に設置し、自走しながら品質検査を行うことが可能になった。
スタッフの説明によると、高速測位やレーザースキャンなどの技術により、ロボットは送電線の外観品質、導線の湾曲率、送電路内の障害物などのデータを収集し識別することができる。雨や霧、夜間でも稼働が可能で、送電線検査効率が格段に向上する。
近年、中国では送電網の整備と最適化が継続的に行われている。昨年末までに中国は、国営電力会社「国家電網」の38のプロジェクトと「南方電網」の4つのプロジェクトを含む42の交流および直流の超高圧送電プロジェクトを完成させた。省や地域を跨ぐ送電能力は3億キロワットを超える。
「超高圧プロジェクト」のサポートを受け、中国の再生可能エネルギーの設備の容量は、2012年の3億キロワット超えから、23年には15億キロワット超えまでの大幅増加に成功している。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews