【3月28日 Peopleʼs Daily】「地域包括的経済連携協定(RCEP)」は、参加国の総人口が世界最多で、経済貿易の規模も世界最大、そして発展の潜在力が最も大きい自由貿易協定である。

 2022年1月の正式発効以来、RCEPは関税の引き下げ・免除、通関手続きの簡素化、貿易・投資の円滑化など制度的な優遇策を絶えず打ち出し、地域の生産・供給チェーンの安定と円滑性を強化し、アジア太平洋地域の経済の新しい段階でのハイレベルな発展を促進している。

 25年1月2日午前、新鮮な果物や野菜を満載した中国・ラオス鉄道の国際貨物列車が雲南省(Yunnan)昆明市(Kunming)の王家営西駅(Wang Jia Ying West Station)からラオスに向けて出発した。この列車は21年12月3日に中国・ラオス鉄道が全線開通してから、その累計貨物輸送量が5000万トンを突破する記念すべき貨物列車だった。そして累計5000万トンの輸送量のうち1158万トンは越境貿易貨物であった。

 RCEP発効から3年、中国・ラオス鉄道は、今や中国、タイ、カンボジアなどの国々を結ぶ重要なハブとなっている。

 一方、海運の方面でも、航路の増加に伴い、インドネシア、タイ、ベトナム、日本からの貨物が、中国のアモイ、泉州(Quanzhou)、山東(Shandong)などの港に直接輸送されるようになった。

 アジア開発銀行(ADB)の調査では、RCEPは30年までに2450億米ドル(約37兆2500億円)の経済成長をもたらし、地域内に280万人の雇用を創出すると予測している。

 地域的なつながりが盛んになるにつれ、RCEP諸国間の貿易の利益もまた伸び続けることになる。

「ボーテン(磨丁、Boten)口岸」は、雲南省の国境都市・モーハン(磨憨、Mohan)からわずか3キロの距離にあり、中国とラオス間の陸上輸送では必ず通過する地点である。

「3年前にはボーテンの通関業者は12社だけだったが、それが今では約150社もある」、中国・ラオス鉄道ボーテン駅貨物接続事務所の張建麗(Zhang Jianli)所長はこう語る。

 通関業者の事務所では、複数の会社の事務員が、荷主に代わって通関手続き、書類提出、貨物検査、納税など、貨物を予定通り出荷するために忙しく立ち働いている。

 ラオスの首都ビエンチャンとタイの国境都市ノンカイの輸送の交差点に位置する「ターナレーン口岸」は、ラオスを経由して中国やタイに輸送される貨物の主要な内陸口岸となっている。

 中国・ラオス鉄道の開通前は、ビエンチャンからボーテンまでトラック輸送で2日間かかっていた。それが現在では4時間ほどで済むようになり、この地域の貨物輸送の効率が大幅に改善された。

 統一関税、原産地規則、貿易および投資の自由化・円滑化、その他の貿易規則の許諾を通して、RCEP加盟国の間で27の貿易協定と44の投資協定が結ばれ、区域の統合を最大限に高め、多国間貿易システムの発展を促し、産業チェーン/サプライチェーンの安定を確保している。

 シンガポールのユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)の関係者は「RCEPの発効で、加盟国間の関税障壁が取り払われ、貿易規則が簡素化された。中国に進出するシンガポール企業は平均92%の関税削減の恩恵を受け、彼らの中国市場での発展にとって一層有利な条件が整った」と話している。

 駐中国マレーシア大使館のウニー・サンカール(Unni Sankar)経済担当公使は「RCEPは地域内の企業や投資家に多くのチャンスをもたらし、アジア太平洋地域の経済の安定した発展に貢献している」と強調する。

 中国は、昨年12月「RCEP非ASEAN加盟国」の輪番議長国として、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国側の議長国・インドネシアと、ジャカルタでRCEP支援機関の設立を共同推進した。

 これに対して、ASEANのカオ・キム・ホーン(Kao Kim Hourn)事務総長は「RCEPのメカニズムの構築にとっての新たな一つのマイルストーンとなった。RCEPの全面的で高品質な発展のために関連機関を支援する大変重要なものだ」と高く評価している。

 RCEP発効から3年が経過し、貿易、投資、地域的バリュー・チェーンなど様々な次元における加盟各国の分配利益が、徐々にはっきりと表れてきた。その中で、RCEP最大の経済体である中国は、RCEPの質の高い経済連携を積極的に推し進めている。

 昨年の第1~3四半期において、中国のRCEP加盟国との輸出入総額は9兆6300億元(約200兆6892億円)に達し、前年同期比4.5%増加した。

 中国の対外開放レベルの向上は、アジア太平洋地域の経済の共同発展に安定性と積極的なエネルギーを注入し、域内各国に対して中国の成長の分配利益を享受する大きなチャンスを提供している。

 昨年8月バンコックで開催された「博鰲(Boao)アジアフォーラム・円卓会議」で発表されたデータによれば、カンボジアはRCEPがもたらした発展の利益配当によって、28年までに後発開発途上国(LDC)から抜け出せる見込みであるという。

 カンボジア商務省の国務長官兼報道官のペン・ソビチート(Penn Sovicheat)氏は、RCEPとカンボジアが中国や韓国などと結んだ二国間自由貿易協定は、カンボジアの国際貿易を大きく成長させたと強調している。

 タイ商務省貿易交渉局が発表したデータによると、昨年1月から10月までのタイとRCEP加盟国との間の貿易額は約2697億米ドル(約41兆円)で、タイの貿易総額の53.13%を占め、前年同期比で2.69%増加している。

 タイ・パンヤピワット経営大学(Panyapiwat Institute of Management)中国・ASEAN研究センターのタン・ズーミン所長は「市場参入前の段階での『内国民待遇+ネガティブリスト』という優遇制度の導入が、RCEP投資規則の最も重要な成果の一つだ」と指摘する。

 RCEP発効から3年、中国はASEAN諸国とのサービス貿易の促進と投資協力の利便化において、著しい進展を遂げ、対外経済開放レベルをますます向上させている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews