中国発AI「Manus」に注目集まる
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【3月24日 CNS】最近、「Manus」というAI製品が「汎用AIエージェント」としてインターネット上で大きな話題を呼んでいる。この製品は、中国のAIスタートアップ企業「Monica」が開発した世界初の汎用AIエージェントとされており、現在は内部テスト段階だが、招待コードが数万元(数十万円)で転売されるほどの人気を集めている。
では、「世界初の汎用AIエージェント」とは何が特別なのか?チャットGPT(ChatGPT)や深度求索(DeepSeek)など、他のAIとの違いは何なのか?
紹介によれば、「Manus」という名称はラテン語の「Mens et Manus(心と手、すなわち知行合一)」に由来している。他のAIが「アイデアを生み出す」段階にとどまるのに対し、Manusは「成果を生み出す」ことができる。ユーザーがManusに簡単な指示を与えるだけで、複雑なタスクを自動的に完了させ、ユーザーが休んでいる間に全ての仕事を仕上げることさえ可能だという。
たとえば、Manusは複数の履歴書がまとめられたZip形式の圧縮フォルダーを受け取ると、人間のようにファイルを解凍し、一枚ずつ内容を確認して重要な情報を抽出し、最終的に完全なスプレッドシートを作成する。
また、物件の選別や株価分析を依頼すれば、Manusは収集した情報をまとめ、可視化グラフや詳細なレポートで評価を行う。全体の流れはまるで人間のようで、より専門的かつ精密な作業をこなす。
つまり、Manusはまるでプロフェッショナルな秘書のように、指示を受けて即座に成果物を提供する存在といえる。内測版のManusの招待コードは一部プラットフォームで高額取引され、開発元のMonicaは「有料販売は行っていない」との声明を出す騒ぎに発展した。
しかし、本当にManusはそこまで優れているのだろうか?
内測に参加したユーザーの評価によると、Manusはサーバーダウンを頻繁に起こし、細部ではAI特有の「ハルシネーション(AIが存在しない事実や誤った情報を出力する現象)」を防ぎきれていない。大量のファイルを解析・生成できるとはいえ、間違いの校正・修正に余計な手間がかかり、かえって作業負担が増えることもあるという。また、複雑なタスクはこなせるが処理速度が遅く、ポップアップウィンドウが増えるとフリーズしたり、時には完全にクラッシュすることもある。
開発元Monicaの共同創業者でありチーフサイエンティストの季逸超(Ji Yichao、英名Peak)氏は、「現在のManusはあくまでデモ版であり、完全な製品ではない。技術的な課題は今後も進化によって解決していく」と述べている。
今回のManusの話題性は、AIエージェント技術が持つ潜在力の具体化であり、中国AIイノベーションに対する市場の期待感を映すものでもある。海外メディアも、DeepSeekのR1モデルが発表された後、中国AIへの関心が高まっていると報じている。紹介内容を見る限り、ManusはオープンAI(OpenAI)と直接競合する製品であり、OpenAIも同様にAIエージェントの開発を進めている最中だ。
ただし、技術の信頼性や商業的持続可能性、倫理的な限界、グローバル戦略といった面で、Manusは今後も多くの試練に直面することになる。もし2025年が業界で予想されるように「AIエージェント元年」となるならば、Manusが「現象型プロダクト」から「時代を象徴するソリューション」へと進化できるかどうかは、中国AIの応用分野での次なる物語を左右する鍵となるだろう。(c)CNS/JCM/AFPBB News