青海省「太陽光発電+生態+農牧業」の発展の道・中国
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【3月26日 Peopleʼs Daily】青海省(Qinghai)海南チベット族自治州(Hainan Tibetan Autonomous Prefecture)共和県鉄蓋郷の「塔拉灘」の広大な平原を歩くと、遠くからでもまばゆい光の柱が目に入る。これが「溶融塩式太陽熱発電タワー」だ。昼間でも、高さ100メートルを超えるタワーの頂上から放たれるまばゆい光には目を奪われる。そして、その下には広大な青い太陽光発電パネルのフィールドが広がり、絶え間なく光エネルギーを上へと送り続けている。
「塔拉灘」は、黄河上流の三江源(Sanjiangyuan)地区で砂嵐被害が最も深刻な場所の一つで、過去いかに砂防するかが常に問題となってきた。それが今や、この「ゴビ」の荒れ地は太陽光発電産業にとって「金の卵を産む鶏」となっている。 経済的利益に加え、太陽光発電がもたらす生態系への有益な効果がますます顕著になっている。
太陽光発電産業園区が建設された後、この地域の風速は50%減少し、土壌の水分の蒸発量は30%減少、植生被覆率は80%に達した。海南州自然資源局の何香竜(He Xianglong)局長は「太陽光発電パネルの遮光効果で直射日光が効果的に遮られ、土壌の水分の蒸発が抑えられる。またパネルの定期的な清掃時に使われる水の土壌への浸透と相まって、草の成長に適した条件が整う」と説明する。彼は、砂漠化の根本的な解決策は、風を遮り、土壌の水分を保持することだと言う。それゆえ、太陽光発電パネルの広い面積への敷設で、風を遮ることができ、パネルの下の元は不毛だった荒地が、今では草原になる条件が整ったという大きな変化を強調している。
現在、海南州の塔拉灘には1000万キロワット級の生態型太陽光発電プロジェクトが建設されている。かつて674平方キロの荒野が広がっていた塔拉灘は、一挙に「金山銀山(宝の山)」「緑の山ときれいな水の土地」となった。
海南州の牛や羊は地元ではかなり有名だが、長い間、牧草と家畜のバランスが取れていないことが、地元の畜産業の発展を妨げる痛手となっていた。
何局長は「最初にこれほど多くのソーラーパネルを目にした時は、これほど多くの波及効果があるとは思ってもみなかった。太陽光発電産業は、砂漠化対策に奇跡的な成果が上がっただけでなく、畜産業にも新たな夜明けをもたらした。生長した牧草のうち70%が利用可能だと仮定すると、年間で11万8000トンの牧草が利用できることになり、8万匹近くの羊の放牧の需要を満たすことになる」と率直な驚きをこのように話した。
鉄盖郷馬漢台村の党支部の尕瑪仁(Ga Maren)書記は「以前は、我が佳興チベット系羊の牧羊専業合作社では、900頭余りの羊の飼料だけで毎年20万元(約409万2000円)以上を支出しなければならなかった。それが『太陽光発電の副産物の牧草』のおかげで、2024年だけでも13万元(約265万9800円)以上の飼料費が節約できた」と話す。
現在、海南州では「太陽光発電生態牧場」を科学的に計画している。5つの郷鎮の14の村が「黄河上流水電開発」「大唐集団」「国家能源集団」など10社の太陽光発電企業と提携し、14の「太陽光発電生態牧場」を建設した。牧場面積は1万3000ヘクタールにおよぶ。それ以外に、17か所の牧場が現在建設中だ。
「太陽光発電による砂漠化防止」の効能を実感した青海省は、24年末に「太陽光発電産業・林と草原と砂地の利用区画に関する報告」を発表し、砂漠とゴビ荒野の資源を総合的に調査し、太陽光発電や風力発電所の建設に利用可能な荒地を、発展奨励区、建設適合区、発展適合区に細分化し、各地区における太陽光発電と砂漠化防止・抑制の総合的な発展の指導を進めた。
専門技術チームの調査の結果、10万平方キロの荒野が、太陽光発電や風力発電に利用できることが明らかになった。現在、青海省のクリーンエネルギーの設備容量は5769万キロワットに達し、またこの数字は今も伸び続けている。
太陽光発電による砂漠化防止や太陽光発電を利用した牧羊など、経済、生態、社会の各方面で一連の積極的な効果が現れ、同省のクリーンエネルギー基地の建設にフィードバックされている。
塔拉灘の北東100キロ余り離れた西寧市(Xi’ning)の「南川(Nanchuan)工業園区」には、現代的な標準化された工場建屋が立ち並び、標準化された工場の屋根には青い太陽光発電パネルが整然と並んでいる。
工業園区の太陽光発電企業「高景太陽能(Gokin Solar)」では、孫彬(Sun Bin)副社長がコマンド・プラットフォーム上の数値が正常かの確認のためリアルタイムで数値を監視していた。孫氏は「わが社が製造する単結晶シリコン棒は、工業園区の下流産業に直接供給され、輸送コストを大幅に削減している。塔拉灘の太陽光発電基地は100キロメートル以上離れているが、わが社の製品はそこでも使用することができる」と話した。
現在、西寧市には太陽光発電の「産業チェーン」に関わる企業が26社ある。
西寧市委員会の南海晏(Nan Haiyan)常務委員は「我々は業界をリードする企業を正確に選び、その企業に投資を呼びかけ、20社以上の太陽光発電製造と組み立て関連企業を次々に誘致した。これにより『工業用シリコン - 多結晶シリコン - 単結晶シリコン - シリコンチップ - 太陽エネルギー電池 - モジュール - 太陽光発電マトリクス・アプリケーション』という完全なシリコン材料の太陽光発電産業チェーンが形成された」と紹介した。
データによると、青海省は過去5年間で、荒地化進行中の土地が132万ムー(約8万8000ヘクタール)、砂漠化の土地が159万4500ムー(約10万6300ヘクタール)減少した。
「沙戈荒(砂漠、ゴビ、荒野)」新エネルギー基地の建設が加速するにつれ、「太陽光発電+生態+農牧業」という生態系管理の新たな道もますます広がりを見せている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews