技術力で急成長、中国の金属3Dプリンター企業 江蘇省蘇州市
このニュースをシェア
【3月21日 Xinhua News】中国江蘇省蘇州市のスタートアップ企業、蘇州倍豊智能科技では現在、金属3Dプリンティング技術を用いて超薄型ラジエーター部品を製造している。厚さ0・3ミリの金属板の内部に液体を自在に流せる0・15ミリの孔径がある部品の生産を実現したのは、同社が誇る数多くのイノベーションの一つで、3Dプリンティングをミクロレベルからナノレベルにまで飛躍させた技術だった。
新技術を用いることで、精密な製品を効率的に一体造形できるほか、材料の利用率を最大化することもできる。同社の余旭輝(よ・きょくき)工芸工程師(プロセスエンジニア)は、従来の金属部品製造は金属塊から希望の形状に「カットする」ものだったが、3Dプリンティングは金属粉末をレーザーで溶かして造形し、金属部品に「積層する」ものだと説明した。
余氏はさらに大きな金属3Dプリンターを示して「この装置は航空宇宙用のバルブ部品を8個同時にプリントでき、2日もあれば完成する。内部に流路が多く、複雑な構造をしているため、従来の製造方法だと1カ月ほどかかる」と語った。
同社の陳文明(ちん・ぶんめい)総経理は、工場にいる人は少ないが、設備はフル稼働していると説明。今年に入ってからの受注額は2億元(1元=21円)を超え、各種3Dプリンターから金属粉末加工装置に至るまで、航空宇宙や家電、新エネルギー、自動車などの主要産業向けにプリンティング開発業務を提供していると語った。昨年の売上高は前年比5倍の1億元余りで、今年は約4倍の売上高を見込んでいるという。
創業者でもある呉鑫華(ご・きんか)董事長は、30年以上にわたって積層造形分野に注力してきたと説明。いかに顧客のニーズをくみ取るかを出発点に製品の研究に取り組んできたと繰り返し語った。
次段階に向け、呉氏の率いるチームは無人航空機(UAV)用エンジンの3Dプリンティングに焦点を当てており、年内の試験飛行を目指す予定だとしている。
同社の昨年の研究開発費は3千万元と、売上高の約3割を占めたが、今後とも高額の投資を続ける計画だという。(c)Xinhua News/AFPBB News