ストーカーに憎悪メッセージ、選手が恐怖訴え 女子テニス
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【3月4日 AFP】2月に行われたドバイ・テニス選手権で、2021年の全米オープンを制した女子のエマ・ラドゥカヌ(英国)が、試合中に「執着的な行為」をした男を客席で見つけて涙を流す出来事があった。
世界ランキング2位のイガ・シフィオンテク(ポーランド)は、男に出入り禁止処分を科した女子テニス協会(WTA)の対応を称賛し、17歳の新星ミラ・アンドレーワは、試合に負けるたびに「憎悪のメッセージ」を受け取っている現状を訴えた。
現在22歳のラドゥカヌは、2月18日に行われたカロリーナ・ムホバ(チェコ)戦の第1セットで主審に歩み寄り、涙を流す場面があった。
ラドゥカヌが主審と話している間、試合は中断。主審が即座に大会主催者に連絡を取り、問題の観客が退席させられる間、審判台の後ろに立っていたラドゥカヌにムホバも駆け寄って慰めていた。
WTAは同19日に出した声明で、この男が試合前日に公共の場でラドゥカヌに接近していたことを明かし、脅威評価が完了するまで「WTA主催の全ての大会から出入り禁止にした」と述べた。
四大大会(グランドスラム)で5度の優勝を誇るシフィオンテクは、WTAの対応は「しっかりしていた」と評価し、「彼ら(WTA)の助けがあれば大丈夫だと思う」としつつ、「こういった状況を避けるのはおそらく難しい」と語った。
その一方で、過去に母国で行われたイベントで自身も危ない目に遭ったことがあると明かし、「私たちは公人なので、常に目を光らせて、いやな感じがしたらすぐに対応できるように準備しておくべき。エマにとっては大変だったに違いない」と話した。
ロシア出身のアンドレーワも、国際テニス連盟(ITF)主催の下部ツアー時代に、不穏な脅迫を受けたことがあると明かしている。
スポーツベッティングをしている人々から届くネット上の憎悪メッセージは、テニス選手にとって日常茶飯事となっており、この問題の解決策は見つかっていない。
アンドレーワは大会会場では身の完全を感じているといい、ファンにサインする際には常に3~4人の警備員に囲まれているものの、「負けるたびに、すべての選手がヘイトメッセージをたくさん受け取っていると思う」と訴えた。
中でも脳裏に残っているのは、14歳で出場したITF大会で負けた際に受け取ったメッセージで、「周りを見てみろ、見つけて腕を切り落としてやる」と書かれていたという。
女子テニス選手が主に男性ファンから嫌がらせを受けるのは、新しい問題ではない。セレーナ・ウィリアムスやジェニファー・カプリアティ、マルチナ・ヒンギスといった名選手たちもストーカーに悩まされ、1993年にはモニカ・セレシュがコート上で刺される事件があった。
最近では、通算2度のウィンブルドン選手権制覇を誇るペトラ・クビトバ(チェコ)が、2016年12月に自宅でナイフを持った男に襲われ、重傷を負った。(c)AFP/Reem Abulleil