【2月21日 AFP】イスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザ地区でイスラエル人人質4人のひつぎを誇示したのを受け、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は20日、同国は「極悪非道のハマスに激怒している」と述べ、ハマスの「排除」を表明した。

ネタニヤフ氏はビデオ声明で、「全国民が極悪非道のハマスに激怒している」「われわれは人質全員を奪還し、殺人者たちを殺し、ハマスを排除するとともに、神の助けを借りてイスラエルの未来を確保する」と述べた。

この数時間前、ハマスはガザ地区南部ハンユニスで人質4人の遺体返還式典を開いた。遺体はシリ・ビバスさんとその幼い息子のクフィールちゃん、アリエルちゃん、ベテラン平和活動家のオデッド・リフシッツさんのものとみられている。

元墓地で開かれた式典で、ハマスは4人の遺体が納められたひつぎをステージに上げて誇示した。

遺体はその後、赤十字国際委員会(ICRC)経由でイスラエル軍に引き渡され、身元確認のためにイスラエルの主要な法医学センターに運ばれた。

ネタニヤフ氏は声明で、「愛する人々の血が、地面からわれわれに叫んでいる」と述べ、ユダヤ教の律法を引用し、「われわれにはこれらの卑劣な殺人者と決着をつける義務がある。そしてわれわれは決着をつける」と表明。

「われわれの心は傷ついたが、魂は傷ついていない」と続けた。

イスラエル・カッツ国防相もX(旧ツイッター)に同様のコメントを投稿。「きょう、全国民が哀悼している。拉致と殺人を実行したハマスはせん滅されることになる。われわれは敵に復讐(ふくしゅう)し、未来を守る」と述べた。

遺体の返還は、1月19日に発効した停戦合意の第1段階に基づいて行われた。ハマスはこれまでに、パレスチナ人囚人1100人以上の釈放と引き換えにイスラエル人人質19人を解放した。

2023年10月7日のイスラエルに対する越境攻撃で、ハマスと同盟勢力は251人を拉致して人質に取った。

20日の遺体返還前の時点で、ガザには70人の人質が残っている。イスラエル軍によれば、うち35人は既に死亡している。

イスラエルの公式発表に基づきAFPがまとめた集計によると、ハマスの越境攻撃では1211人が死亡。そのほとんどは民間人だった。

一方、ハマスが運営するガザの保健当局によると、イスラエルの報復攻撃により、ガザではこれまでに民間人を中心に少なくとも4万8319人が死亡した。国連はこの数字について、信頼できるとしている。(c)AFP