【2月18日 AFP】男子テニスのノバク・ジョコビッチ(セルビア)は17日、ヤニック・シナー(イタリア)やイガ・シフィオンテク(ポーランド)といった男女のトップ選手とランキング下位の選手が同様の問題を起こした際の処分内容に「一貫性がない」として、反ドーピングシステムを見直すよう求めた。

男子世界ランキング1位のシナーは15日、昨年3月に禁止物質のクロステボールの陽性反応が2度検出されたことにつながったチームのミスについて「部分的な責任」を認め、3か月の出場停止を受け入れた。

テニスの不正監視団体ITIAは昨年8月、シナーの説明を支持して処分を科さなかったが、世界反ドーピング機関(WADA)はそれを不服とし、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴。最大2年間の出場停止を求めていたが、シナーが3か月の出場停止処分を受け入れる形で合意したことで、意外にも上訴を取り下げた。

女子で四大大会(グランドスラム)通算5勝のシフィオンテクも昨年、心臓の治療に用いられる禁止薬物のトリメタジジンに陽性反応を示したことで、1か月の出場停止になった。

ジョコビッチは、「ここ最近だけでなく数か月前から、自分がロッカールームで話した選手の大半が、プロセス全体の処理の仕方に満足していない」とし、「大半の選手がフェアだと感じていないし、優遇措置のようなことが起きていると思っている。自分がトップ選手でトップの弁護士とつながっていれば、結果に影響を与えることが可能なように見えてしまう」と語った。

対照的に、元女子世界1位で先日現役を引退したシモナ・ハレプ(ルーマニア)は、赤血球の産生を促進する禁止薬物ロキサデュスタットに陽性反応を示したとして、2022年に4年間の出場停止処分を受けた。CASに上訴した結果、汚染されたサプリメントが原因との主張が認められ、処分は9か月に短縮された。

ジョコビッチは、「シモナ・ハレプやタラ・ムーア(英国)、他にも何人かのあまり知られていない選手たちは、問題解決に何年も苦労していたり、数年間の出場停止処分を受けたりしている」とし、「ケースごとにあまりにも一貫性がない」と指摘した。

「今こそシステムに真正面から取り組むべきだ。システムと構造が明らかに反ドーピングのために機能していない。それは明白だ」と訴え、「近い将来、ツアーや統括団体などが一丸となり、これらのプロセスを処理するためのより効果的な方法を見つけることを願っている」と話した。

自身も「一貫性がなく、非常に不公平に見える」と考えているとし、「各事案を個別に独立して扱い、一貫性も透明性もないというのが現状だ」「今問題なのは、男女を問わず選手からのWADAやITIA、そして全体のプロセスへの信頼が欠如していることだ」と語った。(c)AFP