【2月17日 Xinhua News】中国や英国の大学の研究者が二酸化炭素(CO2)を排出しない水素製造技術を開発し、研究論文を14日、国際学術誌サイエンスに発表した。

 中国の北京大学が中国科学院大学や英カーディフ大学などと共同で10年かけて新型のプラチナ-イリジウム二元金属触媒を開発。従来のエタノール水素製造の技術的な壁を乗り越えた。

 エタノール水素製造法を含む従来の化石燃料による水素製造法はエネルギー消費が大きく、300~1200摂氏度の高温が必要な上、大量の二酸化炭素が発生する。新型触媒は270摂氏度の比較的低温な条件で農林廃棄物由来のバイオエタノールと水分子を反応させてクリーンな水素を生成することができ、二酸化炭素を排出しない高効率な水素生産を実現する。

 論文の責任著者、北京大学化学・分子工程学院の馬丁(ば・てい)教授は、現在の世界の水素製造は大部分が化石燃料に依存しており、水素1トンを生産するのにCO2を10トン以上排出していると指摘。「新技術は従来の化石燃料による水素製造技術に比べCO2の排出を水素1トン当たり6トン削減できる。グリーン(環境配慮型)水素エネルギー経済の推進や世界のカーボンニュートラル目標達成を支援する上で非常に大きな応用の可能性を持つ」と語った。

 新技術は大きな環境効果が見込めるだけでなく、経済的な実現可能性も備えており、バイオマスから水素と高価値な化学品を同時に生産できる。特に酢酸は重要な産業価値を持ち、食品の防腐や家庭の清掃、製造・医薬産業で使われる有機化学品に幅広く応用できる。

 カーディフ大のハッチングス教授は、新技術は化学品の協同生産が可能で、特に酢酸は産業分野で幅広く利用されていると説明。「この革新技術は酢酸セルロースの製造などで低炭素代替案になる」と述べた。

 馬氏は、同時生成される酢酸がこの技術の経済的実現可能性と持続可能性を高めているとし「新たな循環型経済モデルの創出を後押し、炭素排出の削減とカーボンニュートラルの推進だけでなく、資源の効率的な利用も実現する」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News