【1⽉11⽇ Peopleʼs Daily】先日行われたある国際サッカー試合で、主審はゴール近くで守備をしていた選手がペナルティーエリア内でハンドをしたと判定した。しかし、観客の目にはボールの軌跡は変わっておらず、高速カメラによる映像でも、守備側選手の反則行為は視認できなかった。では、主審の根拠は何だったのか。

「コネクテッドボール」によるデータだった。サッカーボールに内蔵されたセンサーが感知した振動の波形で、守備側選手の手がボールに触れたことを確認できたのだ。

「コネクテッドボール」は、判定が難しい状況が出現した場合に、ボールに内蔵された機器により「ボールに起こった真実」を人に知らせることができる。そのことで、判定の透明さと正確さが高まるわけだ。

 多くの国際サッカー試合で、江蘇省(Jiangsu)淮安市(Huai'an)にある頂碁運動用品の製品が使われている。同社はサッカー、バレーボール、バスケットボール、ラグビーなどのボールの内袋部分を作る会社だ。そして2022年には、内部に電子機器を入れた競技用のボールを発売した。

 同社の周宏達(Zhou Hongda)会長は、「ボールの内部に安定した懸架装置を組み込み、センサーを取り付けました」と説明した。サッカーボール内部に電子機器を取り付けることは簡単ではない。ボールの重心をずらしてはならないので、機器は正確に中心に取り付けねばならない。電子機器を取り付けても、ボールの総重量は国際サッカー連盟(FIFA)の基準を超えてはならない。ボールが激しく衝突しても、機器は正常に作動せねばならない。周会長によると、3年間をかけて研究を繰り返し、最終的に技術の難関を克服したという。

 多くの国際試合で「コネクテッドサッカーボール」が使われるようになった。周会長は「UEFA欧州選手権などの大会が相次いで開催され、球技製品の輸出が促進されました。弊社は今年1月から9月に、600万個以上の試合用ボールとトレーニング用ボールを輸出しました」と述べた。

 サッカーがますますスマート化することが、試合での競り合いがより素晴らしくなることも後押ししている。中国科学院(Chinese Academy of Sciences)自動化研究所の蒲志強(Pu Zhiqiang)研究員は、「『コネクテッドボール』はデータ収集端末に相当し、選手が着用するスポーツ機器と連携することで、豊富な運動データを収集することができます」と説明した。同研究所はパス確率予測やボールなしのランニングの分析など、さまざまな状況に応用できるサッカー試合のインテリジェント分析システムを開発したという。

 浙江省(Zhejiang)青少年サッカー選手権大会などですでに採用され始めているサッカー試合のインテリジェント分析システムは、定量的でより科学的な方法で選手の能力向上を支援し、指導者が試合の戦術を立てることを補助している。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News