【12⽉13⽇ Peopleʼs Daily】中国では人工知能(AI)がエネルギーの転換を後押ししている。河北省(Hebei)張家口市(Zhangjiakou)にある大唐索拉風力発電場スマートステーションはスマート管理制御システムを導入しており、当直員は一体化プラットフォームを通じて施設全体の設備状態、人による作業状況、セキュリティー環境などをすべて監視することができる。

 風力発電と太陽光発電の施設は、多くが都会から離れた場所にあり、設けられた設備の種類は多く、敷地面積は広い。従来型の管理方式では、人が設備の制御と巡回点検を行う必要があり、大量の人力と資金が必要であることが運営企業にとって大きな問題だ。しかしAI技術の導入により、管理コストの削減などで経済効率を大幅に向上させることができる。

 AI技術はリアルタイム監視を実現するだけでなく、データを直ちに分析することで潜在的な問題を発見することができる。大唐国際発電の生産部新エネルギー課の関係責任者によると、AIは設備の過去の運営と故障で得られた大量のデータを分析し、リスクを事前警告することができる。例えば、設備劣化の兆候を事前に発見するなどだ。警告に従って適切な補修をすることで設備の耐用年数を著しく延長でき、停電リスクを大幅に低減することなどができる。

 AI技術は新エネルギー企業管理の各レベルと細部に深く浸透しつつある。風力発電タービンの製造などを手がける金風科技(Goldwind)のAI応用研究院の宋建軍(Song Jianjun)院長によると、同社は無人化発電所の建設、物資の調達、翻訳などの業務にAIを導入した。「今後はマルチモードビッグモデル、視覚分析、オペレーションズリサーチなどの技術に長期投資して、AI技術が新エネルギーの技術革新と運営管理を全面支援するようにします」という。

 新エネルギー発電には「変動性」が付きまとう。例えば電力消費が増える夏の暑い日の無風、照明需要が増える夜に太陽光が得られないような状況だ。そのため、電力網の調整にも困難が生じる。そこで役立つのがAI技術だ。多次元データの統合や新エネルギー電力の変動を予測して、需給のマッチングを後押しできるからだ。

 広東省(Guangdong)深セン市(Shenzhen)は2024国際デジタルエネルギー展で、バーチャル発電所制御管理クラウドプラットフォーム3.0を発表した。同プラットフォームはすでに充電スタンド、ビル空調、太陽光発電など9種類の計5万5000件の電力関連機器に接続されており、その総容量は310万キロワットを超える。AIの活用により、分散型再生可能電力施設の普及と利用が加速し、エネルギー転換を後押しすると期待されている。

 現在のところ、エネルギー分野でのAIの応用は主に企業に集中している。しかし将来は、新エネルギーの応用場面が多様化することでAIの能力がさらに発揮され、より広範なユーザー層に恩恵をもたらすと期待されている。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News