【12⽉8⽇ Peopleʼs Daily】ここは中国・新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のホータン地区(Hotan Prefecture)にある万畝砂漠施設農業産業園内の植物工場だ。3層の栽培棚を使って水稲を「ビル住まい」させることで、単位面積当たりの生産量が大幅に増加した。また、作付けから収穫までが中国で栽培される水稲の平均値の120~150日よりはるかに短い2か月だ。

 成長期間はなぜ大幅に短縮されたのか。植物工場内には水稲の急速な成長をもたらすLEDライトが多くある。科学研究チームのメンバーである史大煒(Shi Dawei)氏によると、水稲の各生育期に効果的な光の調合に絶えず調整することで、成長期間を大幅に短縮したという。

 中国農業科学院都市農業研究所の楊其長(Yang Qichang)首席科学者は、「植物工場では、温度、湿度、光、二酸化炭素、根から吸収する養分を調整できます」と説明した。今年4月には初めて試験栽培した急速成長水稲が収穫され、1ムー(約0.0006平方キロ)当たりの生産量は1051.5キロに達した。5月を過ぎて2回収穫したが、1ムー当たりの生産量はいずれも1000キロを超えた。

 楊首席科学者は、「今後はゴビ砂漠(Gobi Desert)でも砂漠温室と新技術を応用して、食糧作物の効率的な生産を模索することができます。年に5作を収穫すれば、1ムー当たりの年産量は約5000キロに達し、食糧安全保障を後押しすることができます」と述べた。

 急速に成長する水稲では、苗づくりも独特だ。科学研究チームのメンバーである楊俊(Yang Jun)氏は立体循環式育苗機を見せてくれた。「育苗機は絶えず回転し、各株に光を十分に照射して均一に成長させます。育苗は15日で終わります。育苗機1台の設置面積はわずか10平方メートル程度で、その後の栽培での50ムー(約0.03平方キロ)分の苗を供給することができます」という。

 ホータンでは砂漠地帯に多く作られている温室ハウスは、建設用地のコストが低く日照時間が長い長所がある。楊首席科学者は「自然光を最大限に利用することができ、同時に熱を蓄積することができるので、石炭を燃やして温度を維持する必要はありません」と説明した。ホータンの砂漠は理想的な試験場所という。チームは2年余りの試験を経て砂漠の温室条件で水稲の急速な成長を実現した。

 楊首席科学者は、「この高効率で省エネの砂漠温室棟の1平方メートルの建設コストはわずか350元(約7500円)程度です。新エネルギーやスマート化設備技術を導入すれば、コストはさらに下がるでしょう」と説明した。

 万畝砂漠施設農業産業園内には四つの植物工場があり、水稲のほか、トウモロコシ、トマトなどを栽培している。楊首席科学者のチームは砂漠の温室で大豆、トウモロコシ、小麦、アブラナ、綿花、アルファルファなどの作物の急速成長の基幹技術を引き続き模索している。(c)Peopleʼs Daily/AFPBB News