危機の欧州に渡るより未来あるアフリカにとどまるべき セネガル首相
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【7月9日 AFP】アフリカ西部セネガルのウスマン・ソンコ(Ousmane Sonko)首相は6日、モーリタニア沖で移民を乗せた船が沈没し90人近くが死亡した事故を受け、危険な大西洋ルートで欧州に渡るのを思いとどまるよう若者たちに呼び掛けた。
アフリカ西部から欧州を目指す太平洋ルートは海流が強く特に危険なことで知られるが、地中海ルートの取り締まりが強化されたのを受けて人気が高まっている。大西洋ルートでは先週、移民船が転覆し、89人が死亡、数十人が行方不明になる事故が起きたばかり。
ソンコ氏は北部サンルイ(Saint-Louis)のガストン・ベルジェ大学(Gaston Berger University)で数百人の若者を前に演説し、「アフリカ西部沖でまたしても海難事故が起きた。正確な数字はまだ分からないが、多くの若者が命を落としたとみられる」と述べた。演説は、ソンコ氏のフェイスブックページでライブ配信された。
ソンコ氏は「残念で嘆かわしいことだ。今一度、若者たちに訴えたい。皆さんは求める解決策は丸木舟にはない」と主張。
「断言するが、一部の若者が移住したがっている国々は、危機さなか、あるいはその始まりにある」「世界の未来はアフリカにある。若者はこのことを認識する必要がある。発展と大きな成長の余地がある大陸はアフリカだけだ」と訴えた。
スペインの慈善団体カミナンド・フロンテラス(Caminando Fronteras)によると、今年1~5月、5000人以上がスペインに渡ろうとして海で命を落とした。1日当たり33人が死亡した計算で、2007年の統計開始以来最多となった。大多数は大西洋ルートで命を落とした。(c)AFP