【4月7日 AFP】ルワンダの村ヌゴマ(Ngoma)で、マスクとゴム手袋を着けた約100人のボランティアが陰鬱(いんうつ)な面持ちで赤土を掘り返す。斜面の上から多くの人がその様子を見守る。

 かつて1軒の家が立っていた場所から大量の骨が出てきた。ルワンダ虐殺から30年。今も遺体が見つかっていない犠牲者が多い。

 頭蓋骨、歯、骨のかけらなどが、慎重にプラスチック袋に入れられる。靴や衣服の切れ端は、行方不明者を特定する手掛かりになり得る。

「深く掘れば掘るほど、遺骨の混じった土の層に当たる」。フエ(Huye)地区のアンドレ・カマナ副区長は険しい表情で語った。

 ジェノサイド(大量虐殺)の生存者団体「イブカ(Ibuka)」の関係者は1月末、AFPの取材に対し、この場所では1週間の発掘作業で計210人の遺体が発見されたと述べた。

 同じ村のバナナ農園でも35人の遺体が発見されたという。ボランティアの一人、ゴレス・ウウォンクンダさん(52)は「すべての遺体が発見されたと確信できるまで、ここで捜索を続ける」と語った。

 1994年に多数派フツ(Hutu)の過激派政権が扇動した虐殺から30年たった今も、集団墓地は驚くほど頻繁に発見されている。

 国連(UN)の推計によると、同年4~7月の約100日間に及んだ大虐殺では、少数派ツチ(Tutsis)を中心に約80万人が殺害された。

■「家族の秘密」

 首都キガリから車で3時間ほどのヌゴマでは当時、道路が封鎖され、ツチは車から引きずり下ろされ殺されたとウウォンクンダさんは言う。

「この村の歴史は恐ろしいものだ。ここは集団墓地の一つで、遺体が捨てられた」とAFPに語った。「遺体の上に遺体を埋めた。大きな骨、失われた部分がない全身の骨や頭蓋骨も出てきた」

 家の下から集団墓地が見つかった一家のうち5人は、大量虐殺への関与と証拠隠滅の疑いで逮捕された。幹線道路から離れた丘の中腹に立つ、何の変哲もない田舎の家だった。

 捜査は昨年10月、当局への密告をきっかけに始まった。イブカの代表ナプタリ・アヒシャキエ氏は「あの家の住民は、自分たちの下に何があるのか、知っていた疑いがある。一家の秘密だった」と語った。

 この発見は近隣住民を恐怖に陥れた。ウウォンクンダさんは「ここに住んでいる家族を知っているが、彼らが毎晩遺体の上で平気で寝ていたことにとてもショックを受けている」と言った。