【1月7日 AFP】フランスでこのほど、ラジウムの発見などでノーベル賞を2回受賞したマリー・キュリー(Marie Curie)博士ゆかりの実験室の取り壊し計画が土壇場で棚上げされた。

 実験室はパリの歴史地区カルチェラタン(Latin Quarter)の一角に位置し、パビヨン・デ・スールス(Pavillon des Sources)と呼ばれる建物内にある。

 がんの研究や治療をミッションとするキュリー研究所(Curie Institute)は、この建物などを取り壊し、跡地に5階建て、総床面積2000平方メートルの先端的ながん研究施設の建設を計画していた。

 この計画に対し、有名なテレビ司会者ステファヌ・ベルン(Stephane Bern)氏やラシダ・ダチ(Rachida Dati)元法相が、「重大な過ち」などと反対。

 リマ・アブドゥルマラク(Rima Abdul Malak)文化相は5日になってX(旧ツイッター)に、「(キュリー研究所は)パビヨン・デ・スールスの取り壊しをいったん取りやめ、代替手段を検討することになる」と投稿した。

 キュリー研究所のティエリ・フィリップ(Thierry Philip)所長はAFPに対し、パビヨン・デ・スールスはキュリー博士が実験室として使っていたわけではなく、放射性物質の保管に使用されていたものだと指摘。代替手段が見つからなければ、「(博士の)記憶と現在進行形の科学との間で冷静に決断せざるを得なくなるだろう」と語った。(c)AFP