【9月20日 AFP】国連総会(UN General Assembly)に出席したイスラム教国の首脳陣は19日、一般討論演説に臨み、同教の聖典コーラン(Koran)が燃やされる事案が相次いでいることを受け、欧州諸国が表現の自由の名の下に差別を擁護していると非難した。

 スウェーデンではコーランに火を付ける抗議行動がたびたび行われている。同国政府はこうした行為について非難する一方、表現の自由に関する法律で保護されており、禁じることはできないと説明している。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、欧州諸国にはイスラム嫌悪を含む人種差別が「はびこっており」「耐え難いレベル」に達していると指摘。

「残念ながら、多くの国のポピュリスト政治家はこうした危険な風潮を助長し、火遊びを続けている」「欧州は表現の自由の名の下にコーランへの忌まわしい攻撃を助長する考え方によって、自らの手で(欧州の)未来を暗くしている」と批判した。

 イスラム教シーア派(Shiite)が多数を占めるイランのイブラヒム・ライシ(Ebrahim Raisi)大統領は演壇でコーランを掲げ、「不敬の炎は神聖なる真理には及ばない」と主張。「(欧州諸国は)表現の自由を方便にして、批判をかわそうとしている」と非難した。

 さらに、「欧州諸国で目にするイスラム嫌悪や文化的なアパルトヘイト(人種隔離政策)は、コーランの冒涜(ぼうとく)から学校でのヒジャブの禁止に至るまで、さまざまな動きから明白だ。数々の嘆かわしい差別は、人間の尊厳に値しない」と切り捨て、イスラム教徒の女子生徒に学校でのヒジャブやアバヤの着用を禁じたフランスを暗に批判した。

 欧米とイスラム世界の双方と緊密な関係を持つ富裕国カタールのタミム・ビン・ハマド・サーニ(Tamim bin Hamad al-Thani)首長は、「他者にとって神聖な物を故意に傷つける行為」を表現の自由と見なすべきではないと主張。

「イスラム教徒の同胞たちに言いたい。愚か者や偏見を抱いた者がコーランを燃やしたり、その他のつまらないことで私たちを挑発しようとしたりするたびに取り乱すべきではない」「コーランは極めて神聖で、愚か者に冒涜できるような物ではない」と主張した。(c)AFP