【10月22日 AFP】自由の女神像(Statue of Liberty)やピザと並ぶ米ニューヨークの代名詞、ベーグル。業界団体「ベーグルアップ(Bagelup)」のサム・シルバーマン最高経営責任者(CEO)によると、市内の五つの区に約500の専門店がある。

 100年以上前、ポーランド系ユダヤ人移民がもたらしたこのリング状のパンは進化を続けてきた。ニューヨークのベーグル史における節目を追ってみよう。

■NY上陸

 ニューヨークにベーグルが上陸したのは19世紀後半、というのが歴史家たちの一致した見解だ。

 マンハッタン(Manhattan)ロウアーイーストサイド(Lower East Side)のポーランド系ユダヤ移民が住む地区で人気が出た。彼らの祖国では何世紀も前から作られていた。

 ジャーナリストのマリア・バリンクサ(Maria Balinksa)氏の著書「The Bagel: The Surprising History of a Modest Bread(ベーグル:ささやかなパンの驚くべき歴史)」によると、ベーグル店の労働条件は「ひどかった」ものの、1900年にはすでに70軒まで増えていた。

 同書には、1909年のパン職人によるストライキの勝利が、ベーグル店の賃金と労働条件を改善したと記されている。

■サーモンとクリームチーズ

 ベーグルを使ったサンドイッチの定番は、クリームチーズとロックス(スモークサーモン)を挟んだ「ベーグル・アンド・ロックス」だ。二つの世界大戦の間に人気を博し、以来、ベーグルサンドの王道となっている。

 作家のジェフリー・A・マークス(Jeffrey A. Marx)氏はベーグル・アンド・ロックスが生まれた時期について、ニューヨーク州の酪農家ウィリアム・ローレンス(William Lawrence)がクリームチーズを発明してから約半世紀後の1920年代後半だと述べている。

 サーモンとクリームチーズの組み合わせは、高価な薫製肉やピクルスを専門に扱うニューヨークのユダヤ系デリカテッセンの流行に乗り、ルーベンサンドをはじめとする新しいメニューを生み出した。