【6月7日 Xinhua News】中国上海市虹口区の奎照路(けいしょうろ)野菜市場の一角には、子ども向けの書籍などをそろえた読書コーナーがある。幼稚園の年長組の衷欣怡(Zhong Xinyi)ちゃん(6)は普段、主に幼稚園の先生から読み書きを教わり、ここで本を読むのが日課となっている。

 欣怡ちゃんの両親は江西省(Jiangxi)出身、上海市で果物販売業を20年以上営んでいる。同市虹口区の野菜市場のリニューアルに伴い、地元の奎照路野菜市場にも青果売り場を出店した。

 欣怡ちゃんの母親は「幼稚園が終わった後、何かの習い事に通わせることはまだできないけれど、幸い市場には読書コーナーがある。数百冊の本や雑誌があり定期的に更新もされるので、子どもにとっても新しい世界が開ける」と話す。

 同区図書館と上海多閲公益文化発展センターが協力して実施する「虹口野菜市場読書コーナー」プロジェクトは2010年の上海万博の際にスタートした。今では地元の野菜市場10カ所以上に設置され、多くの業者に喜ばれている。

 市場で働き生活する家庭からの多様なニーズに応え、「移動式」の児童用書架も登場した。子どもの身長に合わせたキャスター付きの半透明の収納ボックスを使い、中には絵本や漫画、児童用の読み物などがぎっしりと入っている。欣怡ちゃん一家のような家庭に非常に人気がある。

 奎照路野菜市場の責任者、宋佃山(Song Dianshan)氏は「子どもは読書コーナーで本を読むこともできるし、売り場の家族のそばで読むこともでき、とても便利で心配もない」と紹介した。

 上海多閲公益文化発展センターの責任者、周洋(Zhou Yang)氏は、子どもに合う本を届け、彼らの成長にしっかりと寄り添いたいと話している。(c)Xinhua News/AFPBB News