【5月1日 AFP】キューバの首都ハバナに駐在していた米国の外交官らが原因不明の体調不良を訴えた、いわゆる「ハバナ症候群」と思われる事例が増えている中、上院情報特別委員会(Select Committee on Intelligence)指導部は4月30日、米政府が調査を行っていることを明らかにした。

 上院情報委員会のマーク・ウォーナー(Mark Warner)委員長(民主党)とマルコ・ルビオ(Marco Rubio)副委員長(共和党)は、ホワイトハウス(White House)付近を含む首都ワシントンとフロリダ州マイアミで攻撃が発生したという2件の報道を受け、「5年ほど前から、キューバのハバナなど世界各地で、米政府職員が謎の攻撃を受けているという報告を把握している」として、「こうした類いの攻撃が増えているようだ」とする声明を発表した。

 米CNNは今週、複数の当局者の話として、2020年11月にホワイトハウスの南側にある芝生の広場「ザ・エリプス(The Ellipse)」で米国家安全保障会議(NSC)職員が症状を訴えた件を連邦機関が調査していると報じた。

 報道によると、その1年前にもホワイトハウス職員がワシントン郊外のバージニア州アーリントン(Arlington)で犬の散歩中に同様の症状を訴えていた。さらにニュースサイトのポリティコ(Politico)も4月30日、昨年マイアミで米政府職員が攻撃されたとみられる事例について政府機関が調査していると報じた。

 いずれも、2016年にハバナで初めて被害を受けた米国外交官らと同様の症状を訴えている。

 キューバで最初の攻撃が報告されて以来、中国、ロシアなどにいる米国の外交官や情報機関職員が原因不明の攻撃を受け、吐き気や場合によっては脳損傷に見舞われる事例が相次ぎ、ロシア政府の関与が疑われている。

 この攻撃はマイクロ波などの「指向性パルス高周波エネルギー」によるものだとする仮説を立てた科学者らもいるが、これまでのところ科学者や医師の間に一致した見解はなく、真相は今なお解明されていない。(c)AFP