【3月19日 CNS】中国・甘粛省(Gansu)白銀市(Baiyin)景泰県(Jingtai)寺灘郷(Shitan)のゴビ砂漠(Gobi Desert)に、明王朝の万暦36年に建てられた「永泰古城」がある。高所から見ると亀のような形をしており、「永泰亀城」とも呼ばれる。国境警備を担った400年前の街が良好に保存され、当時の面影を今に伝えている。

 城壁の東西南北にある門の外側には、敵の侵入を防ぐため二重の防御用城門があり、城壁の四方12か所には火器の台座が備え付けられている。北側と南側には、のろし台が設置され、当時の典型的な軍事要塞(ようさい)の形状をしている。時の流れを経て城の軍事的重要性は低下し、周辺の砂漠化とあいまって街は衰退した。

「この一帯は干ばつが激しく生活が困難なため、黄河(Yellow River)から水をかんがいしている地域に多くの住民が移動しました。以前は800世帯で2000人以上住んでいましたが、今は78世帯で240人ほどになっています」。そう説明するのは、70歳の李崇仁(Li Chongren)さん。教師を定年後、10年以上にわたり古城の保護活動やガイドを務めている。「観光客が城壁に上らないよう毎日巡回しています。建てられてから400年も経過しているので安全上の問題がありますからね。城壁が崩れかけているなどの問題を発見したら、文化遺産局にすぐ報告しています」

 景泰県文化財保護ステーションは2012年以降、壁の補強工事や街の洪水対策などを進めてきた。同ステーションの陳秀琴(Chen Xiuqin)副担当は「文化財の保護と観光を推進する総合プロジェクトに取り組んでいます。今年は、遺跡の3Dデジタル化と人工知能(AI)管理システムの整備を行います」と話す。

 城壁やのろし台は往時の姿を残し、城内には中華民国の初期に建てられた永泰小学校がある。城壁を巡回している李さんは「街も人も年をとっていくものだが、観光を通じてこの街がよみがえる姿を見てみたい」と願っている。(c)CNS/JCM/AFPBB News