【12月20日 AFP】北朝鮮の国営メディアは20日、政府が金剛山(Mount Kumgang)にある観光施設を国際的な行楽地に再開発する計画だと報じた。この施設は韓国企業が建設したもので、金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長が取り壊しを命じていた。

 かつては南北朝鮮の経済協力の象徴として広く知られていたこの施設は、韓国企業「現代峨山(Hyundai Asan)」が建設したもので、韓国から数十万人の観光客が訪れた。

 しかし、金委員長は昨年、韓国との共同開発は目障りであり、「みすぼらしい」この施設は「被災地の仮設テント、あるいは隔離病棟」のようだと非難し、施設の取り壊しを命じた。

 国営朝鮮中央通信(KCNA)は20日、金徳訓(キム・ドクフン、Kim Tok Hun)首相が金剛山の観光地区を視察し、「全世界がうらやむ文化的行楽地」にすべく「われわれらしいやり方で再開発する必要」があると強調したと報じた。

 韓国の首都ソウルにある梨花女子大学(Ewha Womans University)のレイフエリック・イーズリー(Leif-Eric Easley)准教授は、「金政権は金剛山再開発の資金確保に苦労することになり、海外からの投資を必要としているが、韓国の提携企業や出資者との関係を軽視することを示唆している」と指摘。

 金委員長は再開発に関与することへの韓国政府の期待を危険にさらすことで、「韓国の文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)政権が北朝鮮への財政援助を再開する方法を模索するよう圧力をかけている」と述べた。(c)AFP