【12月5日 AFP】米国防総省トップの高官が3日、米軍が中国に対する優位を保つにはロボット工学と人工知能(AI)をフル活用する必要があるとの見解を示した。

 米軍制服組トップのマーク・ミリー(Mark Milley)統合参謀本部議長は、米海軍協会(US Naval Institute)がオンライン開催したシンポジウム「ディフェンス・フォーラム・ワシントン(Defense Forum Washington)」に出席し、「今は戦争の性質が根本的に変化している」と述べ、精密誘導兵器や、無人機をはじめとするロボット機器、高度な衛星通信技術の普及を例に挙げ、これらを最もうまく使いこなすことが勝敗を決定付けると主張。

 世界中の戦場で「AIを採用し、人間と機械を組み合わせ、ロボットを加え、精密誘導兵器を配備して感知・視覚機能を備え、極超音速兵器をいくつか投入すれば、抜本的な変化がもたらされる」と語り、ロボット兵器については、中国で急速に開発が進められていることから、10~15年以内に普及するとの見方を示した。

■「米軍基地の規模を縮小し、艦艇を増やすべきだ」

 ジョー・バイデン(Joe Biden)政権発足以降も現職にとどまるとみられるミリー氏は、韓国などの常設基地にいる米兵とその家族、従業員は攻撃にさらされやすい状態にあるとして、国外の米軍基地を縮小すべきだと主張。

「小規模な軍を広く配備する方がずっと目立たなくなる。それが、今後の軍にとって鍵となる」と述べた。

 さらに同氏は、領有権争いが起きている太平洋西部海域を中国の支配下に置かないようにするために、米国はフィリピン、ベトナム、オーストラリアに地上部隊を配備し、中国の艦隊を撃退し得る長距離精密誘導ミサイルシステムを運用するべきだと主張。

 そのためには、国防総省は海軍の艦艇を2045年までに現在の約300隻から500隻以上に増やし、うち4分の1以上は無人のロボット船にする必要があると述べた。(c)AFP