【12月1日 AFP】米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)政権は11月30日、米最高裁で、下院で各州に配分する議席数の算定から、不法移民を除外することを目指す最後の大きな政策闘争を繰り広げた。

 退任を控えたトランプ氏の計画が進展すれば、不法移民が多い州の下院への影響力が弱まる可能性がある。

 米国は憲法の規定に従って10年に1度、国勢調査を行っている。連邦政府の補助金の一部や、下院で各州に割り当てられる議席数は国勢調査の結果によって決められる。

 国勢調査が行われていた今年7月、トランプ氏は国内に1000万人いると推定されている不法移民を下院の議席数を決める人口から除外するよう命じた。

 大統領在任中、国内に流入する移民の制限に取り組んできたトランプ氏は、国内に不法滞在する外国人が代表者を通じて議会に参加することを認めたくないと公言してきた。

 現在のところ、国勢調査は短期滞在ビザで滞在中の外国人を除くすべての住民が対象とされている。

 多数の移民を抱え民主党が与党となっているニューヨーク州などの州は、不法移民の除外に異議を唱え、下級審で勝利してきた。

 これを受けてトランプ政権は、トランプ氏は今年の国勢調査の結果を来年1月に下院で各州に分配する議席数に反映させることにしているとして、最高裁に速やかに介入するよう求めた。最高裁は近日中に判断を下すとみられる。

 2019年、最高裁は国勢調査に市民権の有無を尋ねる質問を加えることは認めないとする判決を判事5対4の小差で下した。この質問は、国勢調査への回答を避ける移民が増え、一部の州で移民人口が実態よりも少なく算出されるようになると批判されていた。

 米調査機関ピュー・リサーチ・センター(Pew Research Center)の調査によると、トランプ政権が求めている変更が実現すれば、カリフォルニア、フロリダ、テキサスの3州は今後10年間、下院で割り当てられる議席が1議席減り、ミネソタ、アラバマ、オハイオの3州は1議席増える可能性がある。(c)AFP