【10月23日 AFP】男子テニスの名選手であるボリス・ベッカー(Boris Becker)氏は、自身をスポーツ界のスターダムに押し上げた1985年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon)男子シングルスのトロフィーなど、借金返済を可能にする数々のトロフィーを引き渡していない刑事責任を問われている。

 2017年6月に破産宣告を受けた52歳のベッカー氏は、資産に関する情報開示義務に従わなかったとして訴追されている。新たな28件の訴追内容には、同氏がウィンブルドン初制覇を果たした1985年と1989年、さらに全豪オープンテニス(Australian Open Tennis Tournament)では1991年と1996年に手にしたトロフィーがリストに含まれている。

 ベッカー氏は22日、ダークグレーのスーツにブルーのネクタイ、そして黒のマスクを着用して英ロンドンの裁判所に出廷し、45分間の審理で自身の破産に関連した全ての刑事責任について無罪を主張。名前の確認と罪状認否に入った後、保釈中に行方をくらました場合は逮捕状が出されることを了承した。

 検察官はロンドン在住のベッカー氏に対して、後日また新たな訴追に直面する可能性があると明らかにした。一方、弁護人は「彼(ベッカー氏)はこれらの訴追内容に向き合って争い、自身にかけられている疑惑に関して名誉を取り戻すことを決意している」と述べた。

 ベッカー氏は法廷に召喚され、15分以上にわたって一連の罪状を読み上げられた。その中では、計100万ポンド(約1億3700万円)以上の銀行預金および資産隠しなども指摘されているほか、元妻のバーバラ(Barbara)さんや別居中の妻リリー(Lilly)さんの口座に送金して、数十万ポンドの財産を動かした疑惑も持たれている。(c)AFP