【10月20日 AFP】英国のドミニク・ラーブ(Dominic Raab)外相は19日、ロシア軍の情報機関が東京五輪の関係先を標的にインターネット上で情報収集作戦を実施していたと発表した。

 作戦が行われたのは新型コロナウイルスの感染拡大によって東京五輪の2021年への延期が決まる前。英外務省によると、五輪組織委員会、物流サービス企業、スポンサー企業などが標的にされた。

 同日、米司法省はロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の工作員6人を起訴したと発表。6人はウクライナの送電網や2017年のフランスの選挙、韓国で行われた2018年平昌冬季五輪へのサイバー攻撃のほか、世界各地の企業のコンピューターにマルウエア(悪意のあるソフトウエア)「NotPetya」を感染させ、米企業3社だけで10億ドル(約1050億円)近くの損害を与えたとされている。

 さらに6人は、ロシア人元二重スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏とその娘の、神経剤を使った暗殺未遂事件の国際捜査も標的にしたほか、ジョージアの報道機関と議会へのサイバー攻撃も実施したという。

 米国のジョン・デマーズ(John Demers)司法次官補(国家安全保障担当)は、6人が行ったコンピューターへの攻撃は、単一のグループが継続的に実施したものとしては最も影響が大きく、破壊的なものだったと述べた。

 デマーズ氏によると、GRUの同じ部隊のメンバーが米国で2016年に行われた選挙の混乱を招こうとしたとして訴追されたことはあるが、今回の6人の訴追では、米国で今年行われる選挙に介入したという主張はされていない。また、平昌冬季五輪へのサイバー攻撃が行われたのは、ロシア政府ぐるみのドーピング問題でロシアが同五輪への出場を禁止された後だったという。 

「彼らのサイバー攻撃は、すぐ不機嫌になる子どもの感情的未成熟と国民国家が持つリソースが組み合わされたものだ」と述べたデマーズ氏は、6人は北朝鮮の犯行と見せ掛けようとしていたと説明した。さらに平昌五輪の開会式が行われている間に「Olympic Destroyer」というマルウエアを使った攻撃を実施し、五輪運営に使われていたコンピューター数千台のデータを破壊して使用不能にしたと述べた。(c)AFP/Chris Lefkow